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認知症歯周病の原因菌がアルツハイマー病に関連している可能性を示す研究結果
口腔内の細菌とアルツハイマー病とのつながりを示す研究結果が発表された giorgiomtb1-iStock
<慢性歯周炎の原因細菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス菌がアルツハイマー病患者の脳内で確認されたという研究は発表された>
アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)」は、「アミロイドβ」といった特殊なタンパク質が脳内に蓄積し、正常な神経細胞を変化させることで、脳の働きを低下させたり、萎縮を進行させたりする脳疾患だ。
「アミロイドβ」は従来、脳組織で生成されるものと考えられてきたが、血液循環によって生成された「アミロイドβ」が脳内に入り込んで蓄積し、神経細胞の機能を損なわせることを示す研究結果や、緑内障、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病網膜症(DR)など、加齢に伴う眼疾患とアルツハイマー病発症リスクとの間に関連があるとの研究結果も明らかになっている。そしてこのほど、口腔内の細菌とアルツハイマー病とのつながりを示す研究結果が発表された。
慢性歯周炎の原因細菌とアルツハイマー病の関係
米ルイビル大学のヤン・ポテンパ博士らの研究チームは、2019年1月23日、オープンアクセスジャーナル「サイエンス・アドバンシーズ」において、「慢性歯周炎の原因細菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス菌がアルツハイマー病患者の脳内で確認された」との研究論文を公開した。
この研究結果によると、脳内には、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌のほか、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌が産生する毒性プロテアーゼ「ジンジパイン」も確認されており、そのレベルは、アルツハイマー病と関連のある「タウ・タンパク質」や「ユビキチン」との相関が認められている。
また、研究チームでは、マウスの口内にポルフィロモナス・ジンジバリス菌を感染させたところ、6週間後には脳内でポルフィロモナス・ジンジバリス菌が確認され、脳内の「アミロイドβ」も著しく増加した。
新しい治療法への道をひらく第一歩
これらの研究結果について、ポテンパ博士は、「ポルフィロモナス・ジンジバリス菌とアルツハイマー病の病因とのつながりを示すものだ」と評価する一方、「因果関係を裏付ける証拠としては十分でなく、今後、さらなる研究が必要だ」と述べている。
さらに、この研究では、「ジンジパイン」を阻害する分子標的療法によって、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌の脳内での感染を抑制し、「アミロイドβ」の産生を妨げられることも示した。歯周炎の原因菌を阻害することで、「アミロイドβ」の産生を妨げ、神経炎症を抑制し、海馬の神経細胞を守るといった新しい治療法への道をひらく第一歩としても期待が寄せられている。