苦境の韓国企業にようやく光明? 電気自動車用電池で中国規制に変化
自動車用バッテリーを製造する韓国のLG化学やサムスンSDIといった企業は、手痛い損失を重ねた投資の末、ようやく中国市場に一筋の明るい光明を見出しつつある。写真は8月、浙江省湖州の電気自動車のバッテリー工場(2019年 ロイター)
自動車用バッテリーを製造する韓国のLG化学やサムスンSDIといった企業は、手痛い損失を重ねた投資の末、ようやく中国市場に一筋の明るい光明を見出しつつある。
彼らが苦労した原因は何か──。それは3年前に発表された中国政府が推奨するバッテリー製造企業のホワイトリストだ。これに従うことで自動車メーカーは潤沢な補助金の取得が可能となったが、このリストには外国企業が含まれていなかった。
それ以来、中国という世界最大の電気自動車(EV)用バッテリー市場において、同国の寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪股分有限公司(BYD)を筆頭とする競合企業が事実上シェアを独占してきたのである。
だが、中国が国内の自動車用バッテリー市場を開放する兆候が出てきたことで、これまで既存の中国生産拠点を輸出向けに切り替えざるを得なかった韓国企業も、投資拡大に意欲を見せつつある。
LG化学は7月、中国で第2の自動車用バッテリー生産工場に約2兆ウォン(約2000億円)を投資し、2019年10月に生産開始すると発表。一方、SKイノベーションは中国工場に4000億ウォンを投資し、EVバッテリーの主要部品を製造する予定だ。
サムスンSDIは中国におけるバッテリー生産能力の拡大を検討していると述べており、同社のマイケル・ソン上級副社長は、同社が中国の「保護主義的政策」の漸進的変化に対応しつつある、と述べた。
「複数の中国自動車メーカーと積極的に協議している」と、ソン上級副社長は10月、決算発表の電話会議で語った。
大気汚染対策を進める中国は本格的なEVへの移行を目指しており、同国の自動車用バッテリー市場の世界全体の61%に相当。その規模は年間130億ドル(約1.4兆円)と推定されている。
つまり、自動車用バッテリー製造企業としてそれぞれ世界第4位、6位にランクされるLG化学、サムスンSDIにとって、中国市場は成長のために不可欠な市場となっている。
「中国のバッテリーメーカーは、恐ろしい勢いで成長している。われわれが生き残って、彼らをリードできるかどうかは、今後2─3年が正念場だ」とサムスンSDIの関係者は語った。