ウォール街の景況感はトランプ下で最悪 来年は景気後退か
Recession Chances Reach High Point Under Trump
株安で頭が痛いニューヨーク証券取引所のトレーダー Brendan McDermid- REUTERS
<FRBの金融政策決定を前に行われるウォール街の専門家に対する調査では、経済に対する悲観的な見方が圧倒的に増えた。原因は、トランプがもたらす不安定要素だ>
ニュース専門放送局CNBCの世論調査「FRBサーベイ」の最新版によると、ウォール街の投資家たちは、来年はトランプ政権始まって以来、景気後退の可能性が最も高い年になると考えているようだ。
トップエコノミストやファンドマネジャー、マーケットストラテジスト43名を対象としたこの調査で、景況感はドナルド・トランプが大統領に就任して以来最悪のレベルにとなったことがわかった。回答者は大統領の経済に対する手法に不安感を表明し、経済成長の予測を下方修正した。
前回の調査では景気後退が迫っていると予想した人は全体の19%だったが、今回は25%近くが来年の景気後退に備えていると答えた。12カ月以内に景気後退が起きると考えている人は14%に達した。
回答者の大半は、FRB(米連邦準備理事会)の利上げ、中国との貿易戦争によるトランプの関税引き上げ、一貫性のないトランプの経済運営がもたらす不確実性が組み合わさって、次の景気後退が引き起こされると考えていた。
調査対象者のトランプに対する支持率は概して一般国民より高かったが、経済政策に関しては、トランプを支持すると答えた人は52%で、前回の調査より14ポイント減少、不支持は約3分の1で前回よりも10ポイント増えた。
不確実な要素が多すぎる
「トランプとビーター・ナバロ国家通商会議代表による貿易戦争をあおる政策は、世界的な成長の方向性と規模に深刻な悪影響を与える」と、資産運用会社カンバーランド・アドバイザースの最高投資責任者デービッド・コトックはCNBCに語っている。
「これほど自分の予測に確信がもてなかったことはない。先が見えないのは、関税がどうなるかわからないし、関税と税制改革に対して設備投資がどういう反応を見せるかもわからないからだ」と、エコノミストのロバート・フライは言う。
この調査はいつもFRBによる金利政策決定の前に行われている。今回、FRBは12月18から19日にかけて追加利上げを議論、結果はまもなく発表される。