インドネシア、独立目指す武装集団が労働者19人殺害 国軍と銃撃戦も
武装集団の犠牲となった労働者たちのため棺が用意された Antara / REUTERS
<来年春に行われる大統領選を控えて、政治に関する動きが目立つインドネシア。パプア州では独立派によるテロが続いている>
インドネシア最東端、ニューギニア島の西半分を占めるインドネシア領パプア州の山間部で12月2日、橋梁の建設工事にたずさわっていた労働者が正体不明の武装集団に襲撃され、労働者19人が殺害される事件が起きた。
事態を重視したジョコ・ウィドド大統領は国軍・警察に治安回復を指示するとともに国軍部隊を現地に急派、ハディ国軍司令官も12月5日に現地に到着するなど治安回復と武装集団の捜査を本格化している。
事件を起こした武装集団についてインドネシアの報道機関はパプア州の独立を求める武装組織「自由パプア(OPM)」の犯行であるとの見方を強めていたが、12月6日に「西パプア解放軍」を名乗るグループが犯行声明を出した。OPMとこのグループの関係は現時点では明らかになっていない。
政府は襲撃事件を受けて犯行は「武装犯罪組織」によって行われ、使用された武器は国軍から盗まれたものとして「独立運動」や「独立運動組織」などという言葉を意識的に避けており、あくまで犯罪として対処する姿勢を強調していた。
12月2日、パプア州ンドゥガ県イギ郡にあるイギ川、アウラク川で行われていたパプア縦断道路の橋梁工事現場に突然武装集団が現れ、そこで働く労働者を差別発砲し、スラウェシ島マカッサル出身の労働者など19人が殺害された。負傷者や死んだふりをして難を逃れた生存者も数人いるという。
さらに12月3日午前には襲撃があった橋梁工事現場から約10キロ離れた国軍の警備所付近でやはり正体不明の武装集団による発砲があり、銃撃戦となった。この襲撃で兵士1人が死亡、1人が負傷したという。
武装集団はその後山間部などに逃走しており、国軍と警察は部隊を現地に急派して、行方を捜索するとともに付近の警戒を強化しているが、これまでのところ武装集団の発見、確保には至っていない。