最新記事

OPEC

カタールがOPEC脱退発表 サウジアラビアへの不満をあらわに

2018年12月4日(火)11時00分

12月3日、カタールは来年1月に石油輸出国機構(OPEC)を脱退すると表明した。ウィーンのOPEC本部で6月撮影(2018年 ロイター/LEONHARD FOEGER)

カタールは3日、来年1月に石油輸出国機構(OPEC)を脱退すると表明した。世界最大を誇る液化天然ガス(LNG)輸出に注力する方針を示す一方、名指しこそ避けたものの盟主サウジアラビアの対応が一方的だとして不満をあらわにした。今週開かれるOPEC総会を前に、加盟国の結束の乱れが浮き彫りとなった。

カタールのアルカービ・エネルギー担当相は記者会見で、決定は長期的戦略に基づくものだと強調。「多くの人々が政治化するだろうが、これはわが国にとって長期的に見て適切な事柄であり、戦略的決定だ」と述べた。同国のLNG生産は2024年までに1億1000万トンに拡大する方針だ。

同時に「わが国が石油ビジネスから手を引くとは言っていないが、(OPECは)一国によって管理されている」と指摘し、サウジを暗に批判した。石油市場政策を巡っては世界生産の3分の1を超えるサウジ、ロシア、米国の3カ国による支配が増している。サウジとロシアは生産量決定で結び付きを強めているほか、トランプ米大統領はOPECに値下げへの対応を要求。10月時点での86ドルだった原油価格は足元62ドル程度まで下落している。

アルカービ氏は、57年間にわたってOPECに加盟していたカタールにとって脱退は簡単な決断ではなかったが、OPECの生産決定に対する同国の影響は小さいと指摘。同国政府は他の非加盟産油国と同様、すべてのコミットメントを引き続き順守していくと強調した。また今週ウィーンで開かれるOPEC総会には出席するとした。OPECとロシアを含む非加盟産油国は、12月6-7日に減産について協議する予定。

あるOPEC筋は、カタールの脱退について、象徴的な意味合いにとどまるとし「カタールは生産量は多くないが、OPECの歴史で大きな役割を果たしてきた」と述べた。

カタールの産油量は日量60万バレル。OPEC最大の産油国であるサウジの生産量は、日量1100万バレルに達している。

カタールは、LNGの生産量が年間7700万トンに達しており、世界のLNG市場で多大な影響力を持つ。

コンサルティング会社エナジー・アスペクツの石油担当チーフアナリスト、アムリタ・セン氏は、カタールのOPEC脱退について「カタールの生産量は非常に少なく、OPECの影響力が低下することはない」との見方を示した。

[ドーハ 3日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250128issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月28日号(1月21日発売)は「トランプの頭の中」特集。いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB総裁ら、緩やかな利下げに前向き 「トランプ関

ビジネス

中国、保険会社に株式投資拡大を指示へ 株価支援策

ビジネス

不確実性高いがユーロ圏インフレは目標収束へ=スペイ

ビジネス

スイス中銀、必要ならマイナス金利や為替介入の用意=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 7
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 8
    欧州だけでも「十分足りる」...トランプがウクライナ…
  • 9
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 10
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中