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アメリカ社会何が「正義」か見えなくなった2018年のアメリカ
Merriam-Webster Word of the Year: 'Justice'
訪英中のトランプ米大統領に抗議するロンドンっ子たち Peter Nicholls-iStock-REUTERS
辞書出版大手メリアム・ウェブスターは、今年の単語として「正義(justice)」を選出した。これは2018年が、ロシアの米大統領選関与疑惑をめぐるロバート・モラー特別検察官の捜査や、「#MeToo」事件の告発など、事実解明が注目を浴び続けたことを受けたものだ。
ウェブスターは声明で、この単語を選んだ理由について以下のように説明している。「人種的正義、社会的正義、経済的正義、刑事司法上の正義──正義は、ここ1年間に全米で交わされた多くの議論の中心だった。」
同社によれば「正義」は、「Merriam-Webster.com」で年間を通して最も検索された単語のひとつで、検索回数は2017年と比べて74%も急増したという。
メリアム・ウェブスターは「正義」に関連した話題の出来事を例として挙げている。その一つが、ロシアが2016年の米大統領選挙に干渉したのではないかという「ロシア疑惑」とその捜査だ。モラー特別検察官が任命されて19カ月、これまでにトランプの元アドバイザー5人を含む33人が起訴されたが、疑惑解明には程遠い。。
12月12日には、ニューヨーク連邦地裁がドナルド・トランプ米大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエンに3年間の実刑判決を下した。罪状には、2016年の大統領選前にトランプの不倫を隠ぺいすべく口止め料を支払ったことも含まれている。判決を受けた際にコーエンは、トランプの「汚い行為」を隠ぺいすることに同意したのはトランプへの「忠誠心」からだったと述べた。トランプは、かつて右腕だったコーエンを「ラット」と呼んで非難した。いったい正義とは何なのか、問いたくなる出来事が多かったのが今年の特徴だという。
性的暴行疑惑もうやむやに
メリアム・ウェブスターはさらに、米連邦最高裁判所判事の指名候補者ブレット・カバノーが、上院指名承認公聴会で過去について深く詮索された点にも触れている。カバノーはトランプにとって2人目の指名候補者だったが、性的暴行疑惑で全米を巻き込む議論に火をつけた。
少なくとも3人の女性が、カバノーからセクハラと性的暴行を受けたと告発し、カバノーの指名承認手続きは難航した。告発者の1人であるクリスティーン・ブレイジー・フォードが証言をした公聴会はテレビ中継され、連邦捜査局(FBI)が調査に乗り出した。しかしカバノーはその後、賛成50反対48と僅差ながら指名承認を得てしまった。
メリアム・ウェブスターの編集者ピーター・ソコロウスキーはAP通信に対し、これらのニュースは「人種や階級を超えた、全体的な文化や社会に結びつく話」なので、その結果として、「正義」が会話で非常に頻繁に使われる単語になったと述べた。
他の「2018年の言葉」として、オックスフォード・ディクショナリーでは「有毒な(toxic)」、Dictionary.comでは「誤った情報(misinformation)」が選ばれている。
(翻訳:ガリレオ)
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