アフガン介入17年、終わりなき泥沼
War Without End
再び勢いづくタリバン
今年10月7日で、アメリカのアフガニスタン介入から17年が過ぎた。犠牲となった兵士の数こそベトナム戦争の5万8200人に遠く及ばないが、この戦争はアメリカ史上最も長く、最も高くついた戦争だ。
現在、アメリカは年に約450億ドルをアフガニスタンでの軍事作戦に投じている。これまでにかかった費用は合計で、8410億ドルから(退役軍人の心身ケアなども計算に入れれば)1兆700億ドルとされる。
軍隊の疲弊も激しい。どれだけの兵士がアフガニスタンに何度派遣されたのか、正確な数は分からない。だがランド研究所によれば、01年の同時多発テロ以来、合計277万人の兵士が世界各地(主として中東と南アジア)へ、延べ540万回も派遣されているという。
7月末までにアフガニスタンで2372人の兵士が死亡し、2万320人が戦闘で重傷を負ったと国防総省は発表している。だがブラウン大学ワトソン国際関係研究所の報告によれば、「少なくとも97万の退役軍人が(アフガニスタンとイラク戦争に従軍したことが原因と認定された)障害を負っている」。
現地住民の被害はもっと甚大だ。ブラウン大学の報告によれば、16年半ばまでに戦闘地域で計17万3000人のアフガン人とパキスタン人が死亡、18万3000人が負傷した。
かつて大英帝国と戦い、1979年のソ連による侵攻にも耐えてきたアフガニスタン。その国にアメリカは乗り込み、一度はタリバン政権を首都カブールから駆逐し、平和と民主主義をもたらすつもりでいた。
しかし夢は破れ、15年には民主化どころかタリバンと現政権の共同統治を視野に、過激派組織を和平交渉に応じさせることを目標にしていた。しかし、このもくろみも失敗に終わった。快進撃に勢いづくタリバンはアシュラフ・ガニ大統領の人気低迷に乗じて、交渉より駐留米軍の完全撤退が先だと態度を硬化させている。
国防総省と国務省は「何とか面目を保てる取引をタリバン側に求めている」と軍事ブログ「ロング・ウォー・ジャーナル」のトーマス・ジョスリンは言う。「タリバンから『帰ってもいい』と言ってもらいたいのだ。タリバン側はとにかく米軍を追い出したい。それだけだ」
ワシントンに広がる噂では、トランプはアフガニスタンを見限るという結論に達している。撤退を20年に開始すべく、近くスケジュールを発表するつもりだという。