最新記事

都市伝説

「ディズニーパークに遺灰がまかれている」という都市伝説は事実だった

2018年11月1日(木)18時20分
松岡由希子

都市伝説は事実だった…… (写真はイメージ) FrozenShutter-iStock

<アメリカのディズニーパークで、「一部の来園者が敷地内で遺灰をまいている」という噂が広がっていたが、これが事実であることがわかった>

都市伝説だったものが...

ディズニー作品などをテーマとしたテーマパーク型遊園地「ディズニーパーク」は、子どもから大人まで非日常的な美しい空間を楽しめる"おとぎの国"の代表的な存在だが、米国では、そのイメージに似つかわしくない都市伝説のひとつとして「一部の来園者が敷地内で遺灰をまいている」という噂が広がっていた。

そして、このほど、この真偽について取材した米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、この噂が事実であることを明らかにした。

頻繁に見つかるエリアは「ホーンテッドマンション」

この記事によると、米アナハイムのディズニーランドやフロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは、施設内で遺灰らしきものが見つかるときに使う特殊な暗号「HEPAクリーンアップ」が存在し、この暗号が伝えられたスタッフは、微細な粒子を取り除くHEPAフィルター(高効率粒子空気フィルター)が装着された掃除機とともに現場に駆けつけ、清掃にあたるという。

施設の守衛やスタッフによると、遺灰が最も頻繁に見つかるエリアは、999人の幽霊が住む不気味な洋館のアトラクション「ホーンテッドマンション」だそうだが、「カリブの海賊」や「空飛ぶダンボ」といった他のアトラクションや、施設内の花壇、茂み、ゲートの外側などでも遺灰が見つかっている。

高温での火葬によって体内の微生物も焼失することから、遺灰に伴う公衆衛生上のリスクはないが、それゆえに、ディズニーパークでの"散骨"が認められるものではない。ディズニーの広報担当者は、ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対して「このような行為は固く禁止されており、違法です。遺灰をまこうとする来園者は、施設内からただちに退去させます」と述べている。

スタジアムに遺骨をまいた男性が逮捕された

米国では、ディズニーパークのほか、美術館やスタジアムなどの私有地で許可なく散骨することは軽犯罪とみなされ、罰金などの罰則が科される可能性がある。2005年11月には、NFLフィラデルフィア・イーグルスの本拠地スタジアム「リンカーン・フィナンシャル・フィールド」において、フィールド内に無断で立ち入り、母親の遺骨をまいた男性が逮捕された

一方、散骨が認められている場所もある。米国の国立公園では、事前に許可を取り、ハイキングコースや遊び場など、人の往来が激しいエリアから離れた場所であれば、散骨できる。また、米国環境保護庁(EPA)のガイドラインによると、陸から3海里(約5.5キロメートル)以上離れた沖であれば、海での散骨も認められている。

大切な故人への想いが込められたものだとしても、違法な場所での散骨は、厳に慎むべきものであろう。思い出の場所にまいたはずの遺灰が掃除機で吸い取られ、他の廃棄物とともに捨てられてしまうとしたら、故人も浮かばれない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ停戦へ前向きなメッセージ受け取る、実現は

ワールド

メキシコ大統領「即時報復せず」、米の鉄鋼・アルミ関

ワールド

欧州5カ国の国防相が会談、防衛力強化やウクライナ安

ビジネス

カナダ中銀0.25%利下げ、トランプ関税で「新たな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「腸の不調」の原因とは?
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    株価下落、政権幹部不和......いきなり吹き始めたト…
  • 5
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 6
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 7
    トランプ第2期政権は支離滅裂で同盟国に無礼で中国の…
  • 8
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 9
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 10
    「トランプの資産も安全ではない」トランプが所有す…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 6
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 10
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中