最新記事

SNS

ロシアの「ミス・ヒトラー」コンテストがSNSで炎上→削除

No to Miss Hitler Pageant

2018年10月9日(火)16時40分
ベンジャミン・フィアナウ

ネオナチからの没収品を展示するドイツの警察署 Fabrizio Bensch-REUTERS

<ロシア人もドイツ人もアメリカ人も出場する、ナチス賛美の白人女性コンテストが炎上>

最近、ミスコンはただでさえ風当たりが強い。しかも、それが「ミス・ヒトラー」コンテストだったら......。

ロシア企業が運営する、ユーザー約5億人でヨーロッパ最大のSNSであるフコンタクテは9月半ば、オンライン開催のコンテスト「ミス・ヒトラー2018」の宣伝ページを削除した。

アドルフ・ヒトラーを「敬愛」する「純血」の白人女性の参加を募るページは9月に公開された。米ニュースサイト、ボカティブがその存在を報じた後、イスラエルのテレビ局がフコンタクテの管理者に連絡した。

モスクワ・タイムズ紙によれば、問題のページはロシア通信・情報技術・マスコミ監督庁によってブラックリストに登録され、再投稿が不可能になった。閲覧しようとすると、「暴力扇動のため、このコミュニティーはブロックされました」とのメッセージが表示される。

「ミス・ヒトラー」コンテストの参加者は「第三帝国を愛し、敬う」理由と共に、自身の画像を投稿。その大半はセルフィー(自撮り写真)で、ナチス式の敬礼をしたり、ナチスのシンボルや旗を身にまとったりしてポーズを取っている。コンテストの目的はヒトラーのイメージを回復させ、彼が残した思想や文化の美しさを示すこと。出場者の国籍はロシアやドイツ、イタリア、アメリカに及ぶという。

フコンタクテは14年にも、同様のミスコン開催の場になっている。今回と同じく出場者は自分の写真とヒトラーへの思いを投稿し、会員が気に入った候補を選ぶ方式で、入賞者にはナチスの紋章などをあしらったペンダントなどが贈られる予定だった。フォロワー数は7500人以上に達していたが、やはりフコンタクテによって閉鎖された。

このところ、ネオナチや人種差別的なサイトやアカウントへの対応を厳しく問われている米ソーシャルメディア大手は今回、ミス・ヒトラー絡みのコンテンツに用心深く対処した。YouTubeは関連動画に「不適切または不快」とのフラグを付け、フェイスブックは同コンテストに関する検索結果を全て表示できないようにした。

ロシア国内にも、こうしたサイトに目を光らせる組織がある。人種・民族差別による犯罪を監視するNGO「ソバ」は、イスラエル側の抗議によってコンテストのページが削除され、同種の投稿の防止目的で調査資料がロシア当局に提出された経緯を発表した。

それでもこの手のコンテストが登場すれば、悪びれずに参加する人がいる。「ミス・ヒトラー」のページ閉鎖前の時点で暫定1位だったのは「ミス・スクルド」と名乗るドイツ人女性。「ミス・エーデルワイス」や「ミス・マルタ」と称する出場者らもいた。悪名は無名に勝る、なのだろうか?

<本誌2018年10月09日号掲載>

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震、がれきから女性救出 死者2000人

ビジネス

米国株式市場・寄り付き=ダウ約300ドル安・ナスダ

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ビジネス

FRBとECB利下げは今年3回、GDP下振れ ゴー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中