中国婚活ブームの意外な仕掛け人は共産党
Communists Play Cupid
一方、若者たちはそんなアナログな方法ではなく、出会い系アプリ「探探(タンタン)」や、恋人レンタルアプリ「来租我吧(ハイアー・ミー・プリーズ)」を駆使している。特に恋人レンタルアプリは、仕事絡みの夕食会やファミリーイベントに一緒に行ってくれる相手を見つけるツールとして大人気だ。
「年末年始の休暇前に 1000人を超える新規登録者があった」と、ハイアー・ミー・プリーズ創業者の曹甜甜(ツァオ・ティエンティエン)は語る。曹によると、中国の恋人レンタル市場は22年までに数十億ドル規模に成長する可能性がある。
周囲のプレッシャーは悪いことばかりではないようだ。広州出身のシシリア・ツァオ(25)は、自分の世代はせっつかれないと行動を起こさないと語る。「仕事が忙しく、パーティーに行く時間もない。外出が嫌いな人もいる。そういう人は誰かに紹介されないと出会いがない」
天津出身のチャオ・シュエウェイ(20)も、合コンに行くより、自宅でコンピューターゲームをしたがる友達が増えていると語る。「結婚が目的でなければ、デートなんてしないという人は多い」と、チャオは言う。「ただ、結婚自体に後ろ向きな人も増えている。すごく大変そうだし、子育ての費用もばかにならないでしょう?」
現在、中国の夫婦は子供を2人まで持てるようになったが、費用面への不安から2人目をつくることを躊躇する夫婦は少なくない。中国社会科学院の15年の試算では、中国で子供1人を16歳まで育てる費用は平均7万3500ドル。国民1人当たりの可処分所得が年間3295ドルの国では、大きな負担だ。
焦って結婚しても、うまくいくとは限らない。国務院民政部によると、中国では16年までの10年間に離婚率が1000組中1.46組から3組へと倍増した。16年だけを見ても、前年比8.3%増の420万カップルが離婚した。
香港在住の社会学者で、『中国の売れ残り女性たち』という著書があるサンディー・トーは、離婚率が上昇しているのは、人々の考え方が変化した結果だと指摘する。「不幸な結婚にも耐えなくてはと考える女性は減っている」と、彼女は言う。「経済的にも精神的にも自立した女性たちは、結婚がうまくいかないなら離婚するという選択肢を取れるようになった」
七夕にも新たな伝統が生まれそうだ。かつて女性たちは、紙の供え物を燃やして七夕を祝ったが、現代の女性たちは婚姻証書を燃やして自由を祝福するようになるかもしれない。
<本誌2018年9月25日号掲載>
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