最新記事

ミャンマー

スー・チー、ロヒンギャ虐殺の取材記者有罪判決に「裁判は公開法廷で行われたし、控訴は可能」

2018年9月13日(木)16時36分

9月13日、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問(写真)は、同国でイスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害問題を取材していたロイターの記者2人が国家機密法違反の罪でいずれも禁錮7年の判決を言い渡されたことについて、控訴は可能であり、2人の拘束は表現の自由とは関係ないとの考えを示した。写真はハノイで撮影(2018年 ロイター/Kham)

ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問は13日、同国でイスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害問題を取材していたロイターの記者2人が国家機密法違反の罪でいずれも禁錮7年の判決を言い渡されたことについて、控訴は可能であり、2人の拘束は表現の自由とは関係ないとの考えを示した。

スー・チー氏は、ハノイで開催中の世界経済フォーラムの東南アジア諸国連合(ASEAN)会議で、国際社会から批判されているロイター記者への有罪判決について見解を問われると、「多くの人が実際に判決文を読んだかどうか疑問だ。判決は表現の自由とは全く関係がなく、国家機密法に関係したものだ」と発言。「法の支配に基づくならば、記者らには控訴し、判決の誤りを指摘する権利がある」と語った。

9月初旬にロイターの記者2人に対する有罪判決が言い渡されて以降、記者2人を支援する動きが国際的に広がっており、ペンス米副大統領も2人を釈放するよう求めている。

スー・チー氏はペンス氏の釈放要請についてコメントを求められた際に、裁判は公開法廷で行われ、希望する人は誰でも傍聴できたとし、仮に誤審があったと考えている人がいるならそれを指摘して欲しいと語った。

スー・チー氏はこれより先、同じ会合で、後から振り返ってみれば、政府はラカイン州で起きていた状況にもっとうまく対応できたかもしれないとの見解を示した。

「ただ、長期的な安定と安全を確保するため、我々は全てに公平である必要がある」と語った。

昨年8月、ミャンマー西部ラカイン州で政府の治安部隊とロヒンギャ族の衝突が発生し、70万人以上のロヒンギャ族が隣国バングラデシュに逃れている。

[ハノイ 13日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202412310107issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年12月31日/2025年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2025」特集。トランプ2.0/AI/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済…[PLUS]WHO’S NEXT――2025年の世界を読む

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米年末商戦、小売売上高昨年上回る ネット販売好調=

ワールド

カザフの旅客機墜落、ロシア防空システムが関与=アゼ

ワールド

ガザで報道車両に空爆、イスラエルは戦闘員標的と説明

ビジネス

米新規失業保険申請は1000件減の21.9万件、1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 2
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も
  • 3
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部の燃料施設で「大爆発」 ウクライナが「大規模ドローン攻撃」展開
  • 4
    「とても残念」な日本...クリスマスツリーに「星」を…
  • 5
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 6
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 7
    日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落
  • 8
    滑走路でロシアの戦闘機「Su-30」が大炎上...走り去…
  • 9
    世界がまだ知らない注目の中国軍人・張又俠...粛清を…
  • 10
    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 5
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 6
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 7
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 8
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中