運営権獲得へ海外カジノ事業社が猛攻「大阪夏の陣」
ドリームアイランド「夢洲」
大阪は、「夢洲(ゆめしま)」と呼ばれる大阪湾の人工島にカジノを設置したいとしている。
夢洲は、1970年代の大阪における経済成長期に造られた。海岸沿いのエリアはかつて、化学工場や造船所が並び、多くの労働者が住む地域だった。
バブル経済の崩壊で大阪も打撃を受け、20年間にわたりこのベイエリアと大阪の街自体に活力を取り戻すことができずにいる。
しかし、大阪への外国人旅行者は5年間で4倍超に増え、2017年には過去最多の1100万人の外国人客が大阪を訪れた。「食い倒れ」で知られる食べ物の魅力と近隣の観光地へのアクセスのよさが観光客を引き付け、カジノ事業者の期待も高まる。
メルコのホーCEOはロイターの電話取材で「私の人生で最大のチャンスだ」と述べた。
大阪府の資料によると、2012年から2018年5月までに、11のカジノ企業の幹部が「表敬訪問」として、松井府知事と面会した。2017年5月以降、IR関連企業の関係者は、職員と119回会っている。大阪府は職員と会った企業の内訳については明らかにしなかった。
心をつかむ
地元メディアの報道によると、メルコによる直近の大阪府への寄付は5000万円とされるが、これが初めてではない。4人が亡くなった今年6月の大阪府北部地震と7月の水害被害にも、メルコは寄付を行った。
メルコは災害への寄付の額を明らかにしなかったが、天神祭の花火のスポンサー料は約9000ドルと試算されている。
メルコ日本法人の白男川亜子社長はロイターに対し、寄付について、大阪府に有利な扱いを求める目的ではないことを説明したと話した。
白男川氏は「やり過ぎと思われるかもしれないが、たまたま知事との面会が花火と同じ日になっただけ」と述べた。
マカオにおけるメルコのライバル、MGMは大阪でさらに大きなプレゼンスを築こうと、事務所を拡大している。同社は、大阪の府民と企業の心をつかみたいと話した。
天神祭の前に、MGMは船上パーティーへの招待券を、地元の商店街のくじ引きの景品に提供した。
IR事業への参画を目指す中小企業の組織、「IR推進100社会」の堀感治事務局長は、MGMは着実に大阪企業との関係を築いていると指摘する。
MGMのバワーズ氏によると、東京をベースとするGRジャパンは、MGMの代理としてロビー活動を展開している。GRジャパンは今年2月に大阪事務所をオープンし、副所長として、松井知事が代表を務める日本維新の会の元衆院議員を雇った。
ラスベガス・サンズは、地元自治体や企業、地域コミュニティーとの関わりを重視していると話す。同社のシェルドン・アデルソンCEOは、2017年9月に松井知事と面会している。サンズはロイターのインタビューの申し入れを拒否した。