中国・華北平原は、2070年以降、熱波で居住できなくなる、との研究結果
6時間以上生存することは困難
研究チームは、これまでのペルシャ湾岸地域や南アジアを対象とした研究と同様、暑い天候下での生存可能性を評価する指標として、気温と湿度を複合した「湿球温度」を採用。米パデュー大学と豪ニューサウスウェールズ大学の共同研究プロジェクトによれば「湿球温度が摂氏35度(華氏95度)に達すると、健康な人間でさえ屋外で6時間以上生存することは困難」とされている。
研究チームでは、高解像度のマサチューセッツ工科大学地域気候モデル(MRCM)を使ったシミュレーションによって、気候変動が灌漑という人為的影響にさらなる作用をもたらし、華北高原における猛暑のリスクを高めるのかを予測したところ、温室効果ガスの排出量が大幅に削減されないかぎり、2070年から2100年までの間に、湿球温度35度以上の猛暑に見舞われる可能性があることがわかった。
とりわけ、気候変動と灌漑との複合的影響による湿球温度の上昇幅は摂氏3.9度で、灌漑による上昇幅(0.5度)と気候変動による上昇幅(2.9度)とを足した数値よりも高くなっている。
気候変動は、一人ひとりの健康の喫緊の課題に
世界保健機関(WHO)でも、2030年から2050年までの間に、熱中症による年間死亡者数が3万8000人規模になると予測し、気候変動がもたらす健康影響にも注意を呼びかけている。
気候変動の防止は、地球環境の保護のみならず、私たち一人ひとりの健康を守る観点からも、すでに世界全体で取り組むべき喫緊の課題になっているようだ。