イラン「ホルムズ海峡封鎖」を盾に核合意協議の主導権を握るか
軍事バランス
バーレーンに司令部を置く米海軍第5艦隊は、この地域の商用船舶を保護する任務を負っている。米高官はこれまで、ホルムズ海峡封鎖は「越えてはならない一線」であり、再開するために行動を起こすと表明している。
米中央軍のビル・アーバン報道官は「われわれには商業の自由な流れと航海の自由を維持するために必要な軍事力がある」と述べた。
ONIが昨年まとめたリポートによると、イラン革命防衛隊は海軍を速度、規模、ステルスなどの面で強化している上、高速爆撃機や小型船、対艦巡航ミサイル、機雷を購入している。
ONIは「個々には、こうした改善策では西側の技術には対抗できない。だが、それぞれを合わせると全体の能力は、特にペルシャ湾やホルムズ海峡など狭い地域に配備された場合には、個々の合計よりも高くなる可能性がある」と記した。
これに対抗して米国は、商業の自由な物流を守るため掃海艇や護衛船を駆使する方針であり、空爆に踏み切る可能性もあるとしている。だがホルムズ海峡の再開は、特に革命防衛隊が機雷を配備した場合には、長期の作業が必要になりそうだ。
交渉戦術か
イラン高官の間では、海峡封鎖の現実味を巡って意見が分かれている。
1980年代の対イラク戦争で革命防衛隊の司令官を務めた高官は「イランからの石油輸入停止を呼び掛けたことで、米国は既にイランに対して宣戦布告した」と指摘。「石油を全く輸出できない事態となれば、わが国は間違いなく海峡を封鎖するだろう」と語った。
一方で別の高官は、海峡封鎖を今後の核合意を巡る交渉の材料として位置付けている。「海峡の問題によりイランは(核合意を巡る)協議で優位に立つことができる。イランは最悪の状況下でも海峡を封鎖したことはない」と話した。
(Parisa Hafezi、Jonathan Saul、Bozorgmehr Sharafedin記者)
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