イラン「ホルムズ海峡封鎖」を盾に核合意協議の主導権を握るか
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7月11日、イラン革命防衛隊高官は先週、イラン産原油の輸入停止を求める米国の呼び掛けに各国が応じるならば、ホルムズ海峡の封鎖に踏み切ると警告した。写真はペルシャ湾で2005年7月撮影 (2018年 ロイター/Raheb Homavandi)
イラン革命防衛隊高官は先週、イラン産原油の輸入停止を求める米国の呼び掛けに各国が応じるならば、ホルムズ海峡の封鎖に踏み切ると警告した。
ホルムズ海峡を通過する中東産原油は、世界の石油消費量の2割に相当する。対イラン外交を巡るペルシャ湾岸の過去の紛争は、以下の通り。
過去の行動
ホルムズ海峡の一部はオマーンの領海であるため、イランが同海峡を一方的に封鎖することはできない。だが船舶は、イランのイスラム革命防衛隊海軍が監視するイランの領海を通過している。
2016年には、革命防衛隊はイランの領海に侵入した米国人船員を取り調べて一晩拘束。その1年前には、イランの石油プラットフォームを破損したとしてシンガポールの国旗を掲げるタンカーを砲撃した上、1週間にわたって船舶をだ捕し、船員の身柄を拘束している。07年にはペルシャ湾北部で英国人船員を拘束した。
またイランは毎年、中距離巡航ミサイルと中距離弾道ミサイルの演習も実施。革命防衛隊のフセイン・サラミ副司令官は14年、イランはペルシャ湾地域で米国と対決するため巡航ミサイル、弾道ミサイル、無人機、機雷、高速船、ミサイル発射装置を使う可能性があると表明した。
15年には革命防衛隊の軍事演習がテレビ放送され、米航空母艦の模造品がミサイルで破壊され、革命防衛隊が海峡で機雷配備を訓練する様子が映し出された。
米海軍によると、16年1月から17年8月までに米海軍とイラン海軍の間では「危険な」もしくは「不当な」接触が月平均で2.5回あった。
1980年から88年にかけてのイラン・イラク戦争では、双方が相手国の石油輸出を妨げるため船舶を攻撃し合う事態となり、「タンカー戦争」と称された。
米海軍情報局(ONI)によると、88年には米国のフリゲート艦がイランの機雷に衝突、船体に穴が開いてキールを折る損傷を負った。米国は報復として、イランの石油ターミナル2カ所を破壊した上、イラン軍艦を撃沈している。