最新記事

映画

東宝、海外進出を再起動 ハリウッド版「ゴジラ」と「君の名は。」へ共同製作出資

2018年5月15日(火)13時40分
数土 直志(ジャーナリスト)※東洋経済オンラインより転載

「作品を大事にしてくれる会社」。コミックス・ウェーブ・フィルムの角南一城常務取締役は、東宝の印象を聞かれるとそう答えた。東宝とのつながりは、2013年の新海誠監督の中編『言の葉の庭』の配給に始まる。その時の信頼が次作の『君の名は。』につながった。

「大きな会社からオファーが来たからといって安易にOKを出さない。新海誠監督をこれから世界に広げていこうと考えてくれている」と、角南氏。そしてビジネス面の評価も高い。

「『君の名は。』の実写化には数多くオファーがありましたが、東宝はスタジオでの力や実現性をもとにきちんと整理します。説明はとても丁寧でしたね。そしてすごく条件闘争をしてくれました。かなり戦っていただき、よい契約内容になりました」

この日本の制作者やコンテンツホルダーからの信頼が、今後の海外事業にも生きてくるに違いない。

ハリウッドは映画人にとっての夢

日本の映画人にとってはハリウッドでの成功は大きな夢だ。松岡氏も「映画ビジネスでハリウッドは頂点なので、全世界にハリウッドの名前で同時に配給できることを映画人は考えます」と語る。

しかし世界の映画マーケットは北米だけでない。近年は巨大な市場と成長性の高さから、中国への注目が増している。実は東宝は、中国市場でも着実にビジネスを進めている。日本映画自体を持っていくのはハードルが高いとし、ここでも狙いは国際共同プロジェクトになる。今回は未発表でもあり詳細は聞けなかった。しかし、近い将来に中国からも東宝のかかわる大型プロジェクトが飛び出す可能性もありそうだ。

堅実経営からの大胆な転換を図る東宝が、日本の海外映画ビジネスを変える日が来るかもしれない。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

ニューズウィーク日本版 トランプショック
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月22日号(4月15日発売)は「トランプショック」特集。関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ベインキャピタル、ジャムコのTOBを21日に開始

ビジネス

日経平均は続伸、日米交渉通過で安心感 海外休場のた

ワールド

ウクライナ第2の都市にミサイル攻撃、1人死亡・57

ビジネス

ENEOS、発行済み株式の10.8%に当たる自社株
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、アメリカ国内では批判が盛り上がらないのか?
  • 4
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 5
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 6
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 7
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 8
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 9
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 10
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中