空前の「がん治療薬」開発競争、投資家が味わうジレンマ
新興企業などに資金を提供するシリコン・バレー・バンク(ロンドン)の生命科学責任者、ヌーマン・ヘイク氏は「競争が激しいということは、より慎重を期す必要があるということだ」と語る。
「バイオ技術における従来の投資テーマは、競争相手が少なく差別化され、価値を生み出す医薬品を見つけることだった。現在の状況は患者にとっては大いに恩恵があるが、問題は、競争優位性がどの程度長持ちするか、商業的な競争力がどの程度あるかだ」とヘイク氏は続けた。
トムソン・ロイターがまとめたアナリスト予想によると、がん免疫療法の売上高は2021年までに250億ドルを超える見通しで、年間1000億ドルのがん治療薬市場の中で最も急成長を遂げている分野だ。
医薬品企業の幹部は、その中で勝ち組となる療法の開発を目指しているが、競争の激しさを認識していないわけではない。
世界最大のがん治療薬企業であるロシュのセベリン・シュワン最高経営責任者(CEO)は「巨大な脱落者」が出てくると予想。仏サノフィの調査責任者Elias Zerhouni氏は先週アナリストに対し、複数の社が同時に開発を進めているため、各社とも研究・開発費を回収するまでの猶予期間が短くなるとの警戒感を示した。
非営利のキャンサー・リサーチ・インスティテュートのアイマン・シャラビ最高医薬品責任者も「技術革新のサイクルが大幅に短くなった」と語った。
(Ben Hirschler記者)
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