最新記事

北朝鮮

米朝会談準備のため訪米する金英哲とは? 北朝鮮外交の重鎮・スパイ・金正恩の右腕

2018年5月30日(水)18時30分

制裁下のスパイ

金英哲氏はかつて北朝鮮軍の諜報機関である偵察総局の総局長を務め、同国諜報活動コミュニティーの幹部として約30年のキャリアをもつ。

米韓両国は、北朝鮮の核・ミサイル開発に関与したとして、2010年と16年に同氏を制裁対象に指定した。そのため、訪米にあたり制裁の適用除外措置が取られたとみられる。

また同氏は、偵察総局長在職中の2010年に起きた、韓国海軍哨戒艦沈没事件と延坪島砲撃事件で主導的な役割を果たしたと、韓国政府によって断定されている。このほか米情報機関は、2014年に起きたソニー・ピクチャーズに対するサイバー攻撃事件にも同氏が関与しているとみている。

北朝鮮はこれら事件について、関与を一切否定している。

金正日氏のボディーガード

若き日の金英哲氏は、南北朝鮮を分断する非武装地帯を警備する民警部隊に所属していた。

また「ノースコリア・リーダーシップ・ウォッチ」によれば、金正恩氏の父・正日氏が最高権力者であったころ、ボディーガードとして仕えていたという。

正恩氏が父の後を継いだ際は権力の基盤固めに尽力し、公式訪問時には正恩氏に影のように付いて回る英哲氏の姿が確認されている。

英哲氏の性格について「ノースコリア・リーダーシップ・ウォッチ」は、辛らつで目上の相手でもあまり敬意を払わず、一緒に働くのが難しいタイプだと評している。

(翻訳:新倉由久 編集:伊藤典子)

Doina Chiacu [ワシントン 29日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241203issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年12月3日号(11月26日発売)は「老けない食べ方の科学」特集。脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす最新の食事法。[PLUS]和田秀樹医師に聞く最強の食べ方

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第3四半期改定値は+2.8% 速報値から

ワールド

韓国大統領、ウクライナ代表団と会談 武器支援要請と

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、10月は前月比2.0%上昇 

ワールド

イスラエル首相、ICC逮捕状に免責=フランス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 3
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウクライナ無人機攻撃の標的に 「巨大な炎」が撮影される
  • 4
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    「健康寿命」を2歳伸ばす...日本生命が7万人の全役員…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    未婚化・少子化の裏で進行する、「持てる者」と「持…
  • 9
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 10
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中