北朝鮮「核放棄」は望み薄 金正恩は長期戦の構えか?
核保有の重要性とこれまで開発につぎ込んだ資金を考えると、金委員長は核兵器開発の放棄で体制が揺らぐことのないように話し合いを慎重に進めると専門家はみている。
金委員長は2011年の実権掌握以降、軍事力と経済の発展に等しく力を入れ、政権内部の勢力の均衡を図ってきた。
インターナショナル・クライシス・グループのシニアアドバイザー、クリストファー・グリーン氏によると、2013年以降は軍部寄りの勢力が台頭してきたが、トランプ大統領との首脳会談で経済発展を重視する勢力の主張が勢いを増す可能性がある。
ただ、軍部やエリート層は非核化の受け入れに消極的だろう。金炯錫氏は「こうした人々は通常兵器だけで安全保障が確保できるとは絶対に考えない。金委員長の(非核化の)判断に抵抗し、開発継続を主張し続けるだろう」という。
中国国営メディアによると、金委員長は「故金日成主席と故金正日総書記の遺訓により朝鮮半島の非核化に尽力することは、われわれの一貫した立場だ」と表明した。
だが、北朝鮮は長らく公の場では核開発を進めないと言いながら、実際には開発を続けてきた。外国との合意が何度も裏切られてきた経緯があるため、多くの専門家は今度も同じ結果になるとみている。
北朝鮮は過去に、朝鮮半島から米軍が撤退し、韓国と日本が米国の「核の傘」から抜ければ非核化を検討する方針を示したこともある。米政府には飲めない要求だった。
「北朝鮮と交渉したことのあるわれわれのような者には、彼らの言う非核化の意味はお見通しだ」と語るのは、元米国務省高官のエバンス・リビア氏。「指導部が国民、とりわけ軍部の理解を求める必要が出てくるとすれば、その内容はせいぜい核開発計画の一部『凍結』だろう」と語った。
(Josh Smith記者、Soyoung Kim記者)
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