サイバーテロの脅威と戦うキーパーソンに学ぶ、最新セキュリティ対策のヒント ── Microsoft Security Forum 2018で示された論点
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より高度化するデジタル社会を生き抜く秘訣とは
ハッキング、コンピュータウイルス、個人情報流出、ネット詐欺... つい先日は仮想通貨取引所コインチェックへの不正アクセスにより580億円相当の仮想通貨が流出するなど、インターネットやモバイルにおけるセキュリティへの危機感はいよいよ高まってきた。実際にサイバー空間の脅威は年々高度化し、深刻さを増しているわけだが、国と企業はすでに動いている。我々が知らないところで日々、繰り広げられているサイバー空間を巡る攻防とは如何なるものなのか──。
愉快犯から始まり、今では「民主主義」への攻撃
日本政府はサイバーセキュリティの啓発を強化するため、2月1日〜3月18日までを「サイバーセキュリティ月間」とし、様々なイベントを展開している。2月6日に開催された「Microsoft Security Forum 2018 〜Society 5.0実現に向けて セキュリティへの積極投資の必要性〜」と題されたカンファレンスは日本マイクロソフト株式会社が主導し、政府や民間でサイバー攻防の最前線を担う「防人」たちが登場し、現場の声を届けた。
カンファレンスの最終幕、パネルディスカッション「安全なサイバー空間形成に向けて〜デジタル時代のジュネーブ条約〜」に登壇したのは、外務省総合外交政策局サイバー政策室長の泰松昌樹氏、日本郵船グループの株式会社NYK Business Systemsで代表取締役社長の班目哲司氏、そしてファシリテーターを務める日本マイクロソフトの政策渉外・法務本部サイバーセキュリティ政策担当部長の片山建氏。
左から片山建氏、泰松昌樹氏、班目哲司氏
口火を切った泰松氏は、「国家」が晒されている脅威について語った。注目すべきはサイバー攻撃の変化のスピードで、同氏によると、かつてのインターネット黎明期には個人による愉快犯が主流だったのが、グループによる犯行の経済犯を経て、2007年頃にはさらに進化して国家機関がバックについて政治的意図を持った攻撃に変化した。一口にサイバー攻撃といっても事態は急速に高度で複雑になっている。特に2007年4月にエストニアの政府・金融機関等が標的になったケースは、国際社会に不穏な気配を感づかせるには十分だった。これを皮切りに、いわば「民主主義という国が持つ価値に対する攻撃」が本格化したのだ。
泰松氏曰く、ここで国際社会が取るべき措置は大きく3つ。まず、「法の支配の推進」で、サイバー空間に適用される国際法や規範に関する議論を深化させること。誤解や見込み違いによって対立が生じたり、状況がエスカレートするのを防ぐため、平素からの意見交換や情報共有等による「信頼醸成措置の推進」。そして、サイバーセキュリティ対策が必ずしも十分ではない途上国など、脆弱な立場にあるものが攻撃の踏み台にされないようにするための「能力構築支援」がカギという。