シリア 弾圧に曝される市民に寄り添うフリをしてきた欧米諸国の無力と敗北
トルコ軍は「人民部隊」の派遣が開始された20日、その車列を砲撃し、進入を阻止しようとした。だが、部隊は22日にはアフリーン市に入り、住民からの歓迎を受けた。YPGのヌーリー・マフムード報道官によると、前線に展開した「人民部隊」は数百人で、トルコ軍と対峙するには決して十分ではない。だが、トルコは、ロシアの「お墨付き」を得ているこの部隊と交戦することを嫌っている。シリア政府は、漁夫の利を得るかたちで、戦わずしてアフリーン市を手に入れたのだ。
シリア政府は、アフリーン郡に加えて、アレッポ市シャイフ・マクスード地区の割譲をロジャヴァと合意、22日にシリア軍部隊を同地に進駐させた。2016年12月にアル=カーイダ系のシャーム解放委員会を含む反体制派を掃討し、アレッポ市東部を奪還していたシリア政府は、これによりアレッポ市全域を回復した。
シリア政府はさらに23日、アレッポ市北部の要衝タッル・リフアト市に共和国護衛隊の部隊を派遣した。同市は「オリーブの枝」作戦開始宣言の直前に、トルコ軍の攻撃を回避するとしてロシア軍が監視部隊を撤退させていた。共和国護衛隊は、これに代わって市内の駐屯地に展開したのだ。
シリア政府に対するロジャヴァの譲歩は、トルコ軍の攻撃を前にしたPYDの窮状だけでなく、トルコの増長を最小限にとどめようとするロシアの圧力の強さを感じさせる。
「ヒステリック」なロシアの爆撃
そのロシアだが、シリア政府とともにダマスカス郊外県東グータ地方(人口約80万人)で勝負に出ている。シャーム解放委員会、シャーム解放戦線、ラフマーン軍団、イスラーム軍といったイスラーム過激派(ロシア国防省の推計で約9,000人)が活動を続ける同地に対して2月18日以降、爆撃を激化させたのだ。
東グータ地方
攻勢は、イドリブ県で2月3日にシャーム解放委員会がロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機に撃墜されたことへの報復でもあり、トルコによる「オリーブの枝」作戦を黙認していることの見返りでもある。