最新記事

シリア内戦

トルコとシリアは直接衝突へ? クルド勢力にアサド政権側民兵が援軍

2018年2月22日(木)12時41分

 2月21日、トルコ軍がシリア北西部アフリンを支配するクルド人勢力「人民防衛部隊」(YPG)に先月から越境攻撃を続ける中、アサド政権を支持する民兵組織がYPGの援軍としてアフリン入りし、紛争の構図が複雑化している。写真はYPGの兵士。シリアのラッカで昨年7月撮影(2018年 ロイター/Goran Tomasevic)

トルコ軍がシリア北西部アフリンを支配するクルド人勢力「人民防衛部隊」(YPG)に先月から越境攻撃を続ける中、アサド政権を支持する民兵組織がYPGの援軍としてアフリン入りし、紛争の構図が複雑化している。

YPGは、トルコ軍が21日にアフリンを空爆し、地上での戦闘も激化したと明らかにした。

国営メディアによると、シリアのアサド政権を支持する民兵組織が21日、アフリンに入った。体制派の指揮官は、ロシアがシリア軍のアフリン入りを遅らせようと介入したため、代わりに武装した民兵組織がアフリンに入ったと説明した。

一方、トルコ政府は21日、YPGを支援するためアフリンに入った体制派の部隊に対し、「重大な結果」に直面すると警告した。

エルドアン大統領の報道官は記者会見で「(シリアの)体制派や他の集団によるこちら側へのいかなる行為も重大な結果を招く」と述べた。また、トルコはシリア政府と直接協議していないが、間接的にメッセージは伝わっていると語った。

アフリンでは、トルコ軍がアサド政権側の部隊と直接対峙する格好となり、シリア内戦を巡り対立する米国とロシアを含めた各勢力の関係はいっそう複雑になりそうだ。

タス通信によると、ロシアのラブロフ外相は21日、アフリン情勢について聞かれると、シリアの全戦闘員は政府と協議すべきとの考えを示した。



[ベイルート/アンカラ 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBとECB利下げは今年3回、GDP下振れ ゴー

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬

ビジネス

中国人民銀、アウトライトリバースレポで3月に800

ビジネス

独2月小売売上は予想超えも輸入価格が大幅上昇、消費
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中