仮想通貨、金融機関職員の個人取引に潜むコンプライアンス問題
これまでのところ銀行で仮想通貨のインサイダー取引事件は発覚していない。しかし仮想通貨は大手金融機関が関連事業の拡大を発表するたびに価格が急伸しており、リスクは高まっている。
JPモルガン・チェースは昨年5月に仮想通貨Zキャッシュの技術を利用すると発表したが、広報担当者によると仮想通貨に関連する利益相反を防ぐ具体的な社内規則は設けていない。コンプライアンス部門は既存のインサイダー取引規則を適用する方針だという。
ゴールドマン、サンタンデール銀行、ウェルズ・ファーゴ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、スタンダード・チャータードもJPモルガンと同じ方針を採っている。一方、関係筋によると、シティグループとモルガン・スタンレーは従業員に行動規範を守るよう求めるとともに、仮想通貨への投資の扱いについて検討を続けているという。
仮想通貨は世界的な規制当局が存在せず、金融機関が独自の規則を設けるのが難しい。米商品先物取引委員会(CFTC)はビットコインをコモディティーとみなしているが、米証券取引委員会(SEC)は一部の仮想通貨は証券だろうとしており、当局の間でも見解が割れている。
ローエンスタイン・サンドラーのパートナーのベン・コジン氏は「多くの企業にとって一番簡単なのは従業員が個人で仮想通貨を取引するのを禁止することだ」と述べた。実際、ノルデア銀行は今月末から従業員による仮想通貨取引を禁止する。
(Anna Irrera記者)
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