最新記事

米ロ関係

ロシア疑惑で米大陪審がロシア人13名・3団体を起訴 大統領選干渉で

2018年2月17日(土)11時34分

2月16日、ロシアの米大統領選干渉疑惑などを捜査するモラー連邦特別検察官(右)の事務所は、大陪審がロシア国籍の13人と、ロシア関連の3団体を起訴したと発表した。写真は2017年6月、ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

[ワシントン/モスクワ 16日 ロイター] - ロシアの米大統領選干渉疑惑などを捜査するモラー連邦特別検察官は16日、大陪審がロシア国籍の13人と、ロシア関連の3団体を起訴したと発表した。

裁判所文書によると、干渉は2014年に始まり、16年の米大統領選も含まれる。起訴された13人のうち数人は米国人を装い、大統領選中にトランプ陣営の関係者に連絡を取っていたという。

起訴された団体のうち1つは、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクに本拠を置く「インターネット・リサーチ・エージェンシー(RIA)」。

モラー連邦特別検察官が提出した起訴状は全37ページ。インターネット・リサーチ・エージェンシー、および複数のロシア人が14年から16年にかけて、16年の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が対立候補のヒラリー・クリントン氏に対し有利になるようさまざまな手段を通して介入したとしている。

起訴状は、架空の人物になりすまし重要なメッセージをネット上で拡散させたり、米国人になりすまして政治集会を開いたりすることで、米国の選挙を混乱させる企みがあったと指摘。インターネット・リサーチ・エージェンシーは「16年の米大統領選挙を含む米国の政治システムに不和の種を蒔くとの戦略的な目標を掲げていた」とした。

また「起訴された人物は複数の候補者の名誉を毀損するような情報を流し、16年初頭から半ばにかけては、トランプ氏を支持する一方でクリントン氏の名誉を傷つける行為も見られた」とした。

米国の情報機関は17年1月、ロシアが16年の大統領選でトランプ陣営に有利になるよう介入した可能性があるとの報告書をまとめているが、今回の起訴状はその内容におおむね沿ったものだった。

ローゼンスタイン司法副長官は記者団に対し、この問題を巡る捜査は終了していないとし、「起訴状は、ロシアの陰謀者たちが米国に不和の種を蒔き、民主主義に対する信頼を揺るがそうとした疑いがあるとしている。こうした人物たちに目標を達成させてはならない」と述べた。

ホワイトハウスのサンダース報道官によると、トランプ大統領は起訴について報告を受けた。

ロシア大統領府は米大陪審による起訴についてまだ詳しい情報を把握していないとしている。

起訴状によると、ロシア側による選挙介入プロジェクトは14年5月には始まっており、「プロジェクト・ラフタ(Project Lakhta)」と呼ばれ、潤沢な資金が投入されていた。

ロシア国籍の人物は米国人の社会保障番号や誕生日などの情報を不正に入手し、ネット決済サービス「ペイパル」のアカウントを取得。偽の人物になりすましソーシャル・メディアでニュースを拡散させたほか、ソーシャル・メディア上で政治的な広告も作成、購入、拡散し、こうした広告には「ヒラリー・クリントンにノーと言う」、「ドナルドはテロを撲滅、ヒラリーは支援」、「より良い未来にはトランプ氏のみが希望」などというものが含まれていたとしている。

インターネット・リサーチ・エージェンシーは13年7月にロシアで企業登録。起訴状は、サンクトペテルブルクの同社の社屋は米大統領選を含む米国のシステムに対する介入活動が行われた「運営上のハブ」となっていたとしている。

同社は架空の人物を創り出す人員やテクニカルエクスパートなど数100人を雇用。16年9月までには予算は120万ドルを超えていたとしている。



ロイター


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産の前期、最大の最終赤字7500億円で無配転落 

ビジネス

FRBの独立性強化に期待=共和党の下院作業部会トッ

ビジネス

現代自、関税対策チーム設置 メキシコ生産の一部を米

ビジネス

独IFO業況指数、4月86.9へ予想外の上昇 貿易
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 6
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「iPhone利用者」の割合が高い国…
  • 10
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 10
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中