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学力格差

算数が得意な富裕層の子どもと、家庭科が得意な低所得世帯の子ども

2017年12月13日(水)16時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

上記の調査では、対象の小学生に対し、8つの教科と外国語活動が得意か否かを尋ねている。<表1>は、得意と答えた児童の比率が年収200万円未満と1000万円以上の家庭でどう違うかを比較したものだ。学年変化も見るため、4年生と6年生に分けている。

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教科によって、差の様相は違っている。おおむね座学の教科では富裕層の方が高く、実技系ではその逆になっている。算数は前者、家庭は後者の典型例だ。

差が最も大きいのは算数で、4年生では1.73倍、6年生では2.01倍と、学年を上がるにつれて階層格差が開いていく。内容が高度化し、塾通いなどができる子が有利になるのだろう。外国語活動(英語)は、4年生よりも6年生で差が小さい。英語が始まる4年生では、幼少期の英語教育経験の違いが反映されるためと思われる。

家庭については、低収入層の子どもは自宅で手伝いをする(させられる)頻度が高いため、得意率が高いのかもしれない。あるいは、座学の教科で得意なものがなく、実技系を得意と答えた児童が多い可能性もある(自身の中での相対規準を適用)。

観察される格差は教科によって異なる。新学習指導要領では「個に応じた指導」が推奨されているが、とりわけ算数は習熟の程度がまばらで、その違いが家庭環境と強く関連している。この教科では、補充的な指導に重点を置くべきだろう。

子どもの教育達成の要因として家庭環境を取り上げることはタブー視されてきたが、最近は考え方が変わり、家庭の所得をキーに据えた調査もされるようになってきた。2013年度に続き、今年度の『全国学力・学習状況調査』でも、家庭環境の調査が含まれている。

家庭環境による学力格差、それによる貧困の世代連鎖を防ぐには、冒頭で述べたような実践(通塾費の補助や無料学習塾など)も大事だが、まずは「所得階層」をタブー視する教育界の風潮を変えなければならない。

<資料:国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査」(2014年度)

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