最新記事

宇宙国家

宇宙国家アスガルディア、人工衛星の軌道投入成功を受け「建国」を宣言

2017年12月12日(火)19時00分
高森郁哉

人工衛星「アスガルディア1」の打ち上げ YouTube

ロシアや米国など4カ国の宇宙開発専門家らのチームが2016年10月に発表した、衛星軌道上に独立国家「アスガルディア」を建設する構想。同チームはこのほど、憲法や国民名簿などを搭載した人工衛星が周回軌道に投入されたことを受け、「宇宙空間だけに領土を持つ最初の国家になった」と宣言した

国民は15万人

アスガルディアのサイトによると、人工衛星「アスガルディア1」は11月12日、米航空宇宙局(NASA)が委託する商業軌道輸送用の無人宇宙補給機「シグナスOA-8」に搭載されて打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれた。それから約3週間後、ISSから射出されたアスガルディア1は数時間後に地球低軌道に入り、さらにその30分後、人工衛星にアスガルディアのデータが転送されたという。


無人宇宙補給機「シグナスOA-8」で打ち上げられる様子

asgardia-1-nanosat.jpg

打ち上げられた人工衛星

アスガルディア1のデータには、憲法、国家のシンボル、他の政府文書、国民の名簿が含まれている。アスガルディア国民への登録は、18歳以上であれば氏名とメールアドレス、国籍の入力だけで完了するが、11月の打ち上げから1カ月弱で40%以上急増し、15万人を突破したという。

議員選挙も実施中

アスガルディアのサイトでは現在、議員の選挙を実施中だ。憲法では、「議会は、他の言語代表者の配分を考慮し、アスガルディアの12の公用語の割合に合わせた上で言語に基づいて全国均等直接選挙から選出された150人のメンバーからなる」「議会議員は、5年の任期の下、40歳以上のアスガルディア国民の中から選出される」「議員の上限年齢は80歳で、任期は無期限とする」などと規定されている。

12月11日時点での立候補の状況は、英語代表者の定数71人に対して123人の候補者、中国語代表者の定数15人に対して9人の候補者などとなっている。選挙は2018年1月1日に終了する。

asgardia-logo-thumb-720xauto.jpg

宇宙国家「アスガルディア」のシンボルを施した衛星のイメージ AIRC/Asgardia.space

asgardia-space-nation-colony.jpg

宇宙コロニーのイメージ James Vaughan/Asgardia/

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中