最新記事

ドイツ

トランプは北朝鮮やロシア、トルコの独裁的指導者より問題 ドイツ世論調査

2017年12月6日(水)12時32分

12月5日、ドイツ人は、北朝鮮やロシア、トルコの独裁的指導者よりも、トランプ米大統領(右)の方が自国の外交政策にとって大きな問題だと考えていることが、世論調査で明らかになった。写真左はドイツのメルケル首相。ハンブルクで7月代表撮影(2017年 ロイター)

ドイツ人は、北朝鮮やロシア、トルコの独裁的指導者よりも、トランプ米大統領の方が自国の外交政策にとって大きな問題だと考えていることが、世論調査で明らかになった。

非営利組織「Koerber Foundation」は10月に有権者1005人を対象に調査を実施。外交政策上の懸念で1位となったのは難民問題で、回答者の26%が亡命希望者の流入に対処するドイツの能力に懸念を示した。

米国とトランプ大統領との関係は2位(19%)。その後にトルコ(17%)、北朝鮮(10%)、ロシア(8%)が続いた。

1月の就任以降、トランプ大統領は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの脱退を表明したほか、イランが核合意を順守していると認めないと発言し、ドイツの貿易黒字や北大西洋条約機構(NATO)への貢献を批判するなど、ドイツ人を動揺させている。

トランプ大統領のこうした行動を受け、普段は慎重なメルケル首相は、ドイツは将来的に米国を頼りにできないかもしれないと発言。欧州は自身の運命は自ら握るべきと呼びかけた。

今回の調査では、回答者の56%が米国との関係は「悪い」または「とても悪い」と答えた。

メルケル首相の約束にもかかわらず、国際危機でより積極的な役割をドイツが担うことについて、国民のあいだに深い疑念のあることが今回の調査で明らかとなった。回答者の52%は、第2次世界大戦後の抑制された政策を続けるべきだとしている。

このことは、先のドイツ総選挙の選挙戦でメルケル首相と野党党首らの双方が、トランプ政権や英国の欧州連合(EU)離脱で引き起こされる問題にドイツがどう対処するかについて、あまり論じなかったことを反映している可能性がある。

メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)のメンバーで、ドイツ連邦議会の外交委員会で委員長を務めるノルベルト・レットゲン氏は先週、国民に国防や安全保障にさらに投資する必要性を説くうえで、リーダーシップが「嘆かわしい」ほど欠如していると非難した。

[ベルリン 5日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍が東シナ海で実弾射撃訓練、空母も参加 台湾に

ビジネス

再送-EQT、日本の不動産部門責任者にKJRM幹部

ビジネス

独プラント・設備受注、2月は前年比+8% 予想外の

ビジネス

イオン、米国産と国産のブレンド米を販売へ 10日ご
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中