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北朝鮮北朝鮮の孤児たちは、牛糞まであさって飢饉を生き延びた
北朝鮮の国営孤児院の昼食。寄付の減少で国連の援助も途絶えがちに(2003年、清津市) Gerald Bourke/World Food Programme/REUTERS
<北朝鮮の孤児院で子供時代を過ごした脱北者が、90年代の飢饉当時の悲惨な食糧事情を証言。北朝鮮では現在も1000万人以上が栄養不良の状態にある>
脱北者の証言から、90年代の飢饉の時代の悲惨な実態が明らかになった。北朝鮮の孤児院では、子供たちが牛糞から取り出した未消化のトウモロコシや、シラミまで食べて飢えをしのいでいた。
北朝鮮ニュースサイト「Daily NK」によると、こうした実態を証言したのは脱北者リ・ウィリョクで、北朝鮮が飢饉に苦しんだ90年代、特に孤児院の食糧事情は酷かった。
「下痢を起こした牛糞にトウモロコシの粒が残っていれば、それを洗って食べた」と、リは話している。リは90年代後半、10代に成長するまで孤児院で過ごした。
子供たちはシラミも食べた。シラミは血を吸うので、食べなければもったいないと考えていたからだ。「シラミをかむと血が溢れ出た」と、リは話している。
今も多くが栄養不良
さらに孤児院の子供たちは、日常的な虐待にも耐えなければならなかった。孤児院の職員は、ダニ退治のために火が付いた棒を子供たちに近づけ、逃げようとするとその棒で子供たちを叩いた。子供たちの多くがやけどを負っていた。
北朝鮮を94~98年に襲った飢饉では、国民の数十万人以上が死亡したと見られている。旧ソ連からの支援を失ったことで食糧生産が悪化し、これに洪水と干ばつが拍車をかけた。
北朝鮮は飢饉が発生する以前の90年から、子供の成育、保護を保障する国連の「子どもの権利条約」の署名国となっていた。金正恩党委員長は、国内での人権侵害行為を否定している。
この飢饉以降、北朝鮮の生活の質は向上したが、国全体が貧しく飢えていることに変わりはない。国連が今年3月に公表した報告書によると、北朝鮮では国民のうち1000万人以上が栄養不良の状態にある。
国民の不満は、脱北者の数値に表れている。韓国統一省によれば、飢饉の最後の年の98年以降、3万1000人以上が韓国に亡命している。
米朝間の緊張が高まった今年は、韓国の聯合通信によると、8月までの脱北者が780人と昨年同時期より減少した。北朝鮮の監視がさらに強化されたためと見られている。