ロシア疑惑で初起訴 モラー特別検察官がトランプに示した「本気度」
レッドライン
トランプ氏は7月、米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで、モラー氏がトランプ氏一族のビジネスを捜査すれば「越えてはいけない一線を越えることになる」と述べていた。
だが法律専門家は、「適正な捜査範囲」についてのトランプ氏の見解にモラー氏が影響されることはないと指摘する。
「政治家が越えてはいけない一線について何か言ったとしても、検察官が気にかけることはない」と、元連邦検察官のロバート・ケイパース氏は言う。
コーネル法科大学院のジェンス・デービッド・オーリン教授は、モラー氏が、他の犯罪事案を明らかにするために、マナフォートとゲーツの両被告を資金洗浄の罪などで訴追して2人から協力を得ようとしている可能性を指摘する。
モラー氏の特別検察官事務所は30日、これとは別に、トランプ陣営の顧問を務めたジョージ・パパドポロス氏が罪を認めたことを明らかにした。法律の専門家からは、最終的にここからトランプ氏の選挙陣営との関連が明らかになる可能性があり、他の関係者には捜査協力の圧力となるとの声も出ている。
マナフォートとゲーツの両被告が起訴された罪状は、選挙対策本部の仕事とは直接関係がない。一方、パパドポロス氏は、選挙対策本部の顧問を務めていた時期にロシア政府と関係があると思われる外国人と接触した事実について、FBI捜査官に対し虚偽の供述を行ったことを認めている。
検察側は、パパドポロス氏を7月に逮捕し、同氏がその後政府と協力していることを明らかにした。
「彼が何を言うか分かったものではない」と、トランプ氏の元選挙顧問は言う。「彼が捜査に協力しているなら、他の関係者にどんな偽証のわなも仕掛けられる」
前出のコター元検察官は、パパドポロス氏が罪を認めたことをモラー氏が公表した理由は、「マナフォートとゲーツに対する罪状はロシアと関係ないという議論が起きるのを未然に避けるためだ」と指摘する。
元FBI幹部捜査官のフランク・モントヤ氏は、マナフォート被告の訴追とパパドポロス氏が罪を認めたことの公表は、モラー氏がホワイトハウスの圧力に屈することなく、悪事を暴こうとしていることを示していると語る。
「今回の訴追は、ほぼ今後の捜査の指針表明だ。検察はマネーロンダリングや、収入の申告漏れや、もっと広範な犯罪の共謀を捜査する。また、トランプ氏の『越えてはいけない一線』を越えるという意思表示でもある。ロシアと連携して民主主義を損なおうという、いわゆる癒着と呼ばれているものについても捜査を続けるということだ」と、モントヤ氏は話した。
(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)
[ワシントン/ニューヨーク 30日 ロイター]
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