アマゾン配送センターでは週55時間勤務も救急車搬送も当たり前
ドイツ・ラインベルクにあるアマゾンの配送センター Lukassek-iStock.
<アマゾンの欧州最大級センターでは、パニックになって救急車で搬送されても働き続けなければならない!? >
華々しいアマゾンの躍進の裏で、配送センターのスタッフが疲弊している。
英ミラー紙が独自の潜入調査で明らかにしたのは、スタッフたちの衝撃的な労働環境。ヨーロッパ諸国ではアマゾンのスタッフによる労働条件の改善を求めるストライキやデモが以前から話題になっていたが、それを裏付けるかのような報道が反響を呼んでいる。
同紙のアラン・セルビー記者が潜入したのは、イギリス東部エセックス州チルベリーにある「フルフィルメントセンター」。商品の管理・ピッキング・配送を一貫して行うことで、在庫や時間のロスといったリスクを軽減できると謳うアマゾンの配送拠点のひとつ。サッカーグラウンド11個分の広大な敷地を誇る欧州最大級のセンターで、今年は120万個の商品の出荷を予定している。
居眠りしてでも達成すべきノルマの存在
アマゾンに寄せられる大量の注文を捌くために、スタッフたちは精神的にも肉体的にも苦しんでいる。今回の報告で大きく取り上げられたのは、アマゾンのスタッフたちが仕事中に立ちながら仮眠をとっている姿。
(疲れ切った様子のスタッフ)How Bezos became worth over $100 billion, "he earned it, was in the right place at the right time, intelligence" etc. FOH
— Knifey Moloko (@BethLynch2020) 2017年11月26日
Timed toilet breaks, impossible targets, workers falling asleep on feet: Brutal life working in Amazon warehouse
https://t.co/b7ECEm0Nh5
ここまでして働く理由は、センターに割り当てられたノルマの存在が大きい。1時間に最大300個の商品の処理が達成できるよう「30秒で1商品」というノルマの下、センター内に設置された監視カメラがスタッフたちの動きに無駄がないかを見張っている。「ノルマを達成できないとクビもあり得る。過労とプレッシャーのため救急車で搬送された人もいる」と、セルビーは語る。
疲れ切ったスタッフたちはそれでも追いつかない仕事を巻き返そうとして、自分の労働時間のことまで頭が回らない状態だ。1週間あたり55時間の長時間労働の末にパニックを起こす者もいる。
チルベリーのセンターは労働安全衛生法をクリアした職場だが、合法だからと言ってスタッフにとって良い環境であるとは限らない。スタッフとして5週間勤務したセルビーはその状況を「労働者たちはまるでロボットに仕えるしもべ」だったと振り返る。
おまけにスタッフたちはトイレに行くために約540メートルも歩かねばならない。