最新記事

貿易

牛肉輸入制限、16日から日米対話で運用見直し提案 決着するか不透明

2017年10月13日(金)08時35分

10月12日、政府は、16日にワシントンで開く第2回日米経済対話で、冷凍牛肉の緊急輸入制限(セーフガード)を巡る運用見直しを提案する。写真は日米の国旗、1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

政府は、16日にワシントンで開く第2回日米経済対話で、冷凍牛肉の緊急輸入制限(セーフガード)を巡る運用見直しを提案する。

輸入状況をチェックする頻度を今より増やし、発動基準に抵触する可能性がある場合は、輸入業者が自主的に輸入量を調整し、セーフガードの発動をできるだけ防ぐ仕組みに修正する。複数の政府筋が明らかにした。

政府は今回の提案で決着を図りたい考えだが、米国の出方は読み切れず、合意できるかは予断を許さない情勢だ。

セーフガードは、輸入量が前年度四半期の117%を超えた場合に自動的に発動される制限措置。4─6月期の実績が発動基準を超えたため、米国などから輸入する冷凍牛肉の関税率は今年8月1日以降、38.5%から50%に引き上げられた。

これに対し、日本への輸出を拡大させたい米国からは、関係団体などから反発の声が浮上。日米両政府は、経済対話で協議する方向で調整を続けてきた。

複数の政府関係者によると、日本側は、月に1回公表する貿易統計に加え、今後は10日に1回程度のペースで輸入トレンドを把握する案を示す。

チェック間隔が短くなることで、業者は輸入量を調整することがより可能になり、予期せぬセーフガードの発動を防げるようになる。

水面下で日本側の監督官庁が輸入業者などと情報を共有し、セーフガードの発動回避に努力することも米側に説明する見通しだ。

政府内では日米合意に向けた楽観論も聞こえるが「この提案で米側が納得するかどうか」と不安視する向きもある。

セーフガードの再発動懸念もくすぶる。現在の措置は2018年3月末までで、関税率は4月以降、もとに戻る。このため、業者が年明け以降は輸入を控え、関税率が下がる4月以降に一斉に通関手続きを取れば、再び輸入が急増しかねない。

ある政府関係者は「いったん、税率に崖ができてしまうと、それが繰り返される恐れもある」と話す。

(梅川崇 編集:田巻一彦)

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独プラント・設備受注、昨年8%減 2年連続のマイナ

ビジネス

日産、ホンダとの統合協議を白紙に 取締役会が方針確

ワールド

中国外務省、EUに協力呼びかけ 「世界的な課題」巡

ビジネス

英サービスPMI、1月50.8に低下 スタグフレー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 2
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 5
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 6
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 7
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中