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貿易牛肉輸入制限、16日から日米対話で運用見直し提案 決着するか不透明
10月12日、政府は、16日にワシントンで開く第2回日米経済対話で、冷凍牛肉の緊急輸入制限(セーフガード)を巡る運用見直しを提案する。写真は日米の国旗、1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
政府は、16日にワシントンで開く第2回日米経済対話で、冷凍牛肉の緊急輸入制限(セーフガード)を巡る運用見直しを提案する。
輸入状況をチェックする頻度を今より増やし、発動基準に抵触する可能性がある場合は、輸入業者が自主的に輸入量を調整し、セーフガードの発動をできるだけ防ぐ仕組みに修正する。複数の政府筋が明らかにした。
政府は今回の提案で決着を図りたい考えだが、米国の出方は読み切れず、合意できるかは予断を許さない情勢だ。
セーフガードは、輸入量が前年度四半期の117%を超えた場合に自動的に発動される制限措置。4─6月期の実績が発動基準を超えたため、米国などから輸入する冷凍牛肉の関税率は今年8月1日以降、38.5%から50%に引き上げられた。
これに対し、日本への輸出を拡大させたい米国からは、関係団体などから反発の声が浮上。日米両政府は、経済対話で協議する方向で調整を続けてきた。
複数の政府関係者によると、日本側は、月に1回公表する貿易統計に加え、今後は10日に1回程度のペースで輸入トレンドを把握する案を示す。
チェック間隔が短くなることで、業者は輸入量を調整することがより可能になり、予期せぬセーフガードの発動を防げるようになる。
水面下で日本側の監督官庁が輸入業者などと情報を共有し、セーフガードの発動回避に努力することも米側に説明する見通しだ。
政府内では日米合意に向けた楽観論も聞こえるが「この提案で米側が納得するかどうか」と不安視する向きもある。
セーフガードの再発動懸念もくすぶる。現在の措置は2018年3月末までで、関税率は4月以降、もとに戻る。このため、業者が年明け以降は輸入を控え、関税率が下がる4月以降に一斉に通関手続きを取れば、再び輸入が急増しかねない。
ある政府関係者は「いったん、税率に崖ができてしまうと、それが繰り返される恐れもある」と話す。
(梅川崇 編集:田巻一彦)