「核保有国」北朝鮮と世界は共存できるのか
北朝鮮の「非核化」を最終目標にするのであれば、アメリカは時間をかけて問題の前提条件を大胆に作り替える必要がある。この戦略には北朝鮮の核の制限と監視、最終的な放棄を視野に入れた交渉も含まれるが、予防的先制攻撃を再び選択肢に加えることも同時に追求すべきだ。
そのためには防衛力と抑止力に加え、先制攻撃に必要な能力の強化――現時点で朝鮮半島と周辺に配備されている軍備よりも数段上のレベルの攻撃力と防御力を組み合わせた軍備の再強化が求められる。北朝鮮の核攻撃を無効化するミサイル防衛の能力向上も必要になる。
中国はアメリカと同盟国の軍事力強化に反対するはずだ。現在も、韓国へのTHAAD(高高度防衛ミサイル)の配備に強く反発している。だがアメリカは、これは中国が何十年も北朝鮮の行為を黙認し、問題を軽視し、非現実的な自制の呼び掛けを続けてきたことへの代償なのだと説明してやればいい。
国際政治の世界では、指導者はしばしば自分が原因ではない問題への対処を求められる。トランプ米大統領も北朝鮮危機を生み出したわけではないのに、今では責任を負わされている。
だが私たちは目の前の現実を認識し、適切な戦略を構築しなければならない。より安全な未来を次の世代に残すために。
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