有事想定の米韓軍事演習、北朝鮮「暗殺陰謀」と反発
「敵がわれわれの指導者を暗殺するための陰謀を企てていることが我慢ならない」と、北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)は7月に批判した。「われわれの中核に害をなそうとするものは、地上の果てまで追いかける」
<特殊部隊作戦>
北朝鮮による核兵器開発や、米国本土を射程に収めるミサイル開発の急速な進展により、朝鮮半島における緊張が高まっている。
トランプ米大統領は、米国を脅かせば北朝鮮は「炎と怒り」に直面すると警告した。北朝鮮はこれに対し、米領グアム方面にミサイル発射を行うと脅した。
北朝鮮はその後、米国の次の対応を見極めるとして、グアムへのミサイル発射計画を保留すると明らかにした。
「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」と呼ばれる米韓合同演習は、1968年に北朝鮮の特殊部隊124部隊が韓国に侵入し、青瓦台(大統領府)を襲撃して朴正煕大統領を狙うことを企てた暗殺未遂事件に起源がある。
米国は1950─53年の朝鮮戦争後、定期的に指揮統制訓練を行ってはいたが、韓国と合同での軍事演習は、この暗殺未遂事件を機に開始された。この事件で韓国に侵入した北朝鮮特殊部隊員は、2人を残して全員が殺害された。
米国は、韓国に約2万8000人の部隊を駐留させている。今回は、その多くが韓国軍との演習に参加する。また今年は、韓国と同盟関係にあるオーストラリアや英国、カナダ、コロンビア、デンマーク、オランダ、ニュージーランドの各国の部隊も参加するという。
「目的は、何か大きな事態が起きて韓国防衛の必要が生じた場合に備えることだ」と、米軍のミシェル・トーマス広報官は言う。
朝鮮戦争が、平和条約ではなく休戦協定で終わったため、韓国と北朝鮮は正式にはいまだ戦争状態にある。
北朝鮮の主要同盟国であり貿易相手国でもある中国やロシアは、米韓両国に合同演習の中止を呼びかけてきた。だが米国は、妥協する構えを見せていない。
「われわれの指導部に対する私の進言は、演習を抑制すべきでないということだ」と、米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は17日、訪問先の北京で述べた。「合同演習は、同盟の防衛力を維持するために非常に重要だ」
(Christine Kim記者、Heekyong Yang記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)