最新記事

米海軍

米駆逐艦衝突、艦隊一時停止で太平洋での防衛が手薄に

2017年8月22日(火)15時20分
ライアン・ボート

「即応力にほころびができているのは、物資の流れが不安定だからだ。それは、メンテナンスの先送りを意味する」とマクグラスは話す。

連邦議会が迅速に防衛予算案を成立させられないとたいてい、「基本的なトレーニングが簡略化される」と、マクグラスは述べる。「運用上の必要性に迫られて、運航や航法に関する基本的な訓練を行うのが難しくなっていないか、検討する価値がある」

横須賀基地を拠点とする米海軍第7艦隊にとって、駆逐艦は、北朝鮮のミサイル発射に対抗する防衛手段として不可欠だ。事故を起こした誘導ミサイル駆逐艦2隻は、いずれもイージスレーダーとミサイル防衛システムを搭載しており、北朝鮮のミサイルを空中で撃墜することができる。米海軍は太平洋海域で同様の駆逐艦を約36隻運用しているが、事故を起こした艦船はいずれも、朝鮮沿岸に近い横須賀基地に配備されている。

韓国漁船と衝突も

フォーリン・ポリシーは先ごろ、朝鮮半島周辺のミサイル防衛システムと海軍基地の地図を作製した。そうしたシステムや基地は、北朝鮮から発射されるミサイルに対する防衛の最前線として運用・配備されているものだ。

マケインが石油タンカー「アルニックMC」(全長約183メートル)と衝突したのは、現地時間8月21日午前6時24分で、場所はマラッカ海峡付近だった。米海軍は同日、マケインは「船体に甚大な損害を受けて、衝突箇所の近くにある乗組員の船室と機械室、通信室に浸水した」と発表した。

2017年にはほかにも米艦船関連の事故が起きており、全艦隊の一時停止につながった。5月9日には誘導ミサイル巡洋艦「レイク・シャンプレイン」が朝鮮半島付近の公海で韓国漁船と衝突した。また、1月31日には誘導ミサイル巡洋艦「アンティータム」が、配備されている横須賀基地の沖合で浅瀬に座礁して油が流出した。

(翻訳:ガリレオ)

From Foreign Policy Magazine

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中