米駆逐艦衝突、艦隊一時停止で太平洋での防衛が手薄に
「即応力にほころびができているのは、物資の流れが不安定だからだ。それは、メンテナンスの先送りを意味する」とマクグラスは話す。
連邦議会が迅速に防衛予算案を成立させられないとたいてい、「基本的なトレーニングが簡略化される」と、マクグラスは述べる。「運用上の必要性に迫られて、運航や航法に関する基本的な訓練を行うのが難しくなっていないか、検討する価値がある」
横須賀基地を拠点とする米海軍第7艦隊にとって、駆逐艦は、北朝鮮のミサイル発射に対抗する防衛手段として不可欠だ。事故を起こした誘導ミサイル駆逐艦2隻は、いずれもイージスレーダーとミサイル防衛システムを搭載しており、北朝鮮のミサイルを空中で撃墜することができる。米海軍は太平洋海域で同様の駆逐艦を約36隻運用しているが、事故を起こした艦船はいずれも、朝鮮沿岸に近い横須賀基地に配備されている。
韓国漁船と衝突も
フォーリン・ポリシーは先ごろ、朝鮮半島周辺のミサイル防衛システムと海軍基地の地図を作製した。そうしたシステムや基地は、北朝鮮から発射されるミサイルに対する防衛の最前線として運用・配備されているものだ。
マケインが石油タンカー「アルニックMC」(全長約183メートル)と衝突したのは、現地時間8月21日午前6時24分で、場所はマラッカ海峡付近だった。米海軍は同日、マケインは「船体に甚大な損害を受けて、衝突箇所の近くにある乗組員の船室と機械室、通信室に浸水した」と発表した。
2017年にはほかにも米艦船関連の事故が起きており、全艦隊の一時停止につながった。5月9日には誘導ミサイル巡洋艦「レイク・シャンプレイン」が朝鮮半島付近の公海で韓国漁船と衝突した。また、1月31日には誘導ミサイル巡洋艦「アンティータム」が、配備されている横須賀基地の沖合で浅瀬に座礁して油が流出した。
(翻訳:ガリレオ)
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