クルーズ旅行ブームの中国、豪華客船建造に本腰 欧州造船業界は警戒
値引き
他の中国国内の造船会社もクルーズ客船市場に参入し、最大30%の割引と、より早い納期を提示して、西側のクルーズ運航会社から契約を取ろうとしている。
招商局工業集団は3月、米マイアミのサンストーン・シップスから最大10隻の契約を受注し、厦門船舶重工は4月、フィンランド大手船会社バイキングラインから、乗客2800人のクルーズ客船1隻を約2億2200万ドルで受注した。
「多くの造船会社が関心を示してきて、驚いた」と、バイキング・ラインのJan Hanses最高経営責任者(CEO)は語った。広船国際のほか、 烟台中集来福士、中航威海船廠など6つの造船所から引き合いがあったという。「競争は常に良いことだ。欧州造船所も、競争がなければ停滞する」
業界情報誌シートレード・クルーズのデータによると、欧州造船会社は2025年までに68隻のクルーズ船の受注残高があり、他を大きく引き離している。
だが、仏労組「労働者の力」の造船業STXフランス支部のナタリー・デュランプランボーヌ氏は、過去における液化天然ガス(LNG)運搬船のように、フランスの造船所が中国勢に押されてクルーズ客船市場を手放してしまう懸念がある、と指摘する。
技術移転への懸念から、同労組は、フィンカンティエリによるSTXフランスの買収計画に反対しているという。STXフランスは、仏西部サンナゼールの造船所で2600人の従業員を雇用している。
「中国と関係を結んだことで、フィンカンティエリは自分の足に銃弾を撃ち込んだだけでなく、われわれの足元にも発砲したことになる」と、彼女は言った。
中国造船会社にクルーズ客船市場参入について助言しているコンサルティング会社PFJマリタイムのラウル・ジャック氏は、流れを止めようとしても無駄に終わるとみている。「どの造船所もみな、一番活気がある市場に注目している」と同氏は語った。
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
[上海 25日 ロイター]
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