中国初の空母、香港寄港 武力誇示で「愛国心」育つか
隔絶された駐留部隊
自由で資本主義体制をあくまでも維持する香港という都市に20年にわたって駐留しているものの、人民解放軍の駐香港部隊は基本的には兵舎内に閉じこもっており、地元メディアからは隔離され、共産党や人民解放軍によるプロパガンダにばかり接している、と実状に詳しい関係者は語る。
駐香港部隊の一部は中国本土からわずか10キロほどの場所に駐留しているにもかかわらず、はるか遠く離れた潜在的な敵対国にいる中国の平和維持部隊と似たような境遇に置かれている。
隊員家族は遠く中国本土に残され、若い兵士たちはトラブル発生が懸念される場所や歓楽街に近づくことを禁じられている。かつて冷戦期には西側の軍人たちから陽気で楽しい自由の港として親しまれた香港の評判とは大違いである。
人民解放軍の南方部隊により香港は十分に防衛されているにもかかわらず、駐香港部隊は現在、ヘリコプター、軽戦車、防空ミサイル、高速コルベット艦を備えており、かつて香港に駐留していた英国軍部隊よりも強化されている、とかつて英国国防省で海軍情報アナリストを務めたことのあるトレバー・ホリングスビー氏は指摘する。
「駐香港部隊はあいかわらず非常に象徴的な存在であり、軍事的な観点からは、状況全体がやや奇妙なものになっている」とホリングスビー氏は言う。
「英国統治下とは異なり、香港にこれほどの部隊を置くための、納得できるような戦略的ニーズはない。軍が姿を見せる機会が以前よりは増えているとしても、結局のところ、香港社会全体からは、かなり引き離されている。今後も、西側からの影響は、強く警戒されるだろう」
(翻訳:エァクレーレン)
[香港 7日 ロイター]