民事再生法申請のタカタ、不安残る事故防止策 交換ルールなど課題
米国外での補償責任の所在も不透明
タカタの再建は、中国・寧波均勝電子<600699.SS>傘下の米自動車部品メーカー、キー・セーフティ・システムズ(KSS)が支援し、実質的にすべての事業をKSSに譲渡する。KSSが引き取らないインフレーター事業を継承する会社は、20年3月までに生産を終了、いずれ清算する。民事再生手続き後に事故が起きた場合、米国では司法省との合意により設立する補償基金が対応するが、継承会社の清算後や米国以外で起きた際、誰が補償の責任を負うのかまだ不透明だ。
車メーカー各社はリコールを急ぐよう消費者に呼びかけているが、日本でのリコール対象車の改修率は5月末時点で約73%。日本に比べて車検制度の緩い米国では約35%とさらに低い。SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは「会社は再生できても、命は失えば二度と再生できない。車検時にエアバッグの交換も義務づけるなど早期の法制化、国や業界全体で再発防止の仕組みを作る必要があるだろう」と話す。
米国では4月、リコール済み車両にも関わらず、修理業者が廃車から転用したとみられる欠陥エアバッグ部品を流用して修理したため、異常破裂して運転手が負傷する事故が起きた。消費者の安全を脅かす事態がなお広がりを見せる中、会社再建が先行するタカタ問題が完全決着する道のりは険しそうだ。
(白木真紀 編集:北松克朗)
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