民事再生法申請のタカタ、不安残る事故防止策 交換ルールなど課題
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6月25日、タカタが民事再生法の適用申請による再建に動き出すが、最初のリコールから8年余りたった今も、肝心の事故再発防止策をめぐる業界内での合意づくりは進んでいない。都内で昨年2月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
異常破裂のおそれがあるエアバッグの大量リコール(回収・無償修理)で巨額の潜在債務を抱えるタカタ<7312.T>が26日、民事再生法の適用を申請し、再建に動き出した。しかし、最初のリコールから8年余り経った今も、肝心の事故再発防止策をめぐる業界内での合意づくりは進んでいない。タカタ製エアバッグ部品はなお多くの車に搭載されており、いつ起きるとも知れない事故に消費者の不安はぬぐえないままだ。
部品交換、届かない連絡
「対策部品の準備ができ次第、あらためて連絡します」。昨年10月、都内在住の男性に届いたある自動車メーカーからのリコール案内にはこう記されていた。その後、8カ月経つが、男性にメーカーからの連絡はない。
案内には「当社の車に異常展開の報告はなく、直ちに安全性の問題があるとは考えておりません」との文言もあった。だが、衝突事故が起きたら、命を守るはずのエアバッグに逆に殺されるかもしれないという不安が頭から離れない、と男性は漏らす。
タカタ製エアバッグの異常破裂は、火薬材料である硝酸アンモニウムが高温多湿の環境下に長期間さらされ、劣化したことが原因とされる。異常破裂によって、エアバッグを膨らませる部品のインフレーター金属容器が飛び散り、乗員の首に刺さるなどの死傷事故が相次いでいる。
リコールはホンダ<7267.T>が2008年11月に米国で初めて実施。09年には最初の死亡事故が発生し、その後、関連事故による死者は米国で11人、マレーシアなども含む海外全体で17人、負傷者は世界で180人超に上っている。事態を重く見た日米当局は、湿気を防ぐ乾燥剤を入れていないタカタ製エアバッグの搭載車両すべてのリコールを決めている。
「乾燥剤入り」の安全性と耐用年数
タカタは世界のエアバッグ市場のシェア約2割を占める。ホンダ、トヨタ自動車<7203.T>、独フォルクスワーゲン、独BMW、米ゼネラル・モーターズ、米フォード・モーターなど世界の車メーカー19社に問題とされるエアバッグは供給されていた。リコール対象はインフレ―ターの数で1億個超、リコール費用は1兆円以上に膨らむ見通しだ。