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テロ対策ロンドンテロ容疑者2人の身元特定、うち1人は過去に捜査対象
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6月5日、ロンドン襲撃事件で、警察は容疑者3人のうち2人の身元を特定した。写真はロンドン橋に貼られた行方不明者のポスターと通行人。同日撮影(2017年 ロイター/Peter Nicholls)
英ロンドン中心部で3日夜に発生した襲撃事件で、同国警察は5日、射殺した容疑者3人のうち2人の身元を特定した。うち1人は過去に捜査対象だったという。
地元警察によると、2人はパキスタン出身の英国市民、クラム・シャザド・バット(27)と、モロッコ・リビア系とされるラシッド・レドゥアン(30)の両容疑者。ともにロンドン東部の同じ地区に住んでいた。
クラム・バット容疑者は、警察や英情報局保安部(MI5)に知られていたという。ただ、警察は声明で「今回の襲撃が計画されていることを示す情報が無かった」とした。
警察は、3人目の容疑者について身元特定を急いでいる。
英国では3月にロンドンの国会議事堂付近で起きた襲撃事件に続き、2週間前にはマンチェスターで起きた自爆攻撃で多数の死傷者が出たばかり。
総選挙が8日に控える中、相次ぐ事件を受けて、メイ首相が過去に実施した警官削減を批判する声が強まっている。メイ首相は内相だった2010─2016年に警官を約2万人削減した。
カーン・ロンドン市長は「過去7年でロンドン市の予算が6億ポンド削減され、市は警察署の閉鎖と建物の売却を余儀なくされ、警官数千人を失ったという事実がある」と語った。
警察は、攻撃を準備している、あるいは攻撃を積極的に支援しているとみられる容疑者の警戒にリソースを絞る必要があったと説明している。今回の襲撃の実行犯だったバット容疑者は、警察が最後に捜査した際には最も警戒が必要なカテゴリーに分類されなかったという。
メイ首相は、警官削減に関する記者からの度重なる質問に答えていないものの、テロ対策予算は保全され、警察は必要な捜査力を持っていたと述べた。
野党・労働党のコービン党首は、警官を削減したメイ氏を批判し、首相辞任を求める声に賛同した。
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