駐米中国大使とも密通していたクシュナー氏
しぶとく影響力を持ち続けるキッシンジャーを中心に、クシュナーやイヴァンカという洗脳されやすい「若者」をコマに使って、中国の夢を叶える戦略がうごめいている。
日本は先の戦争と同じ愚を繰り返さないようにしてほしい。
そのためには、何が動いているのか、事の本質を見極める目を持たなければならない。ロシア・ゲートは、クシュナー氏を通して、日本に良い教訓を与えてくれていると思う。彼は、中国の巨大な戦略の犠牲者だ。
中国は良好な米中関係を日本に見せつけて日本を動かし、日米を中国の枠組みの中に組み込んで、世界の覇者を狙っている。
そのクシュナー氏は既にロシア・ゲートで米連邦捜査局(FBI)による捜査対象となっているが、トランプ大統領に(万一にも)弾劾裁判などが待っているとしたら、この「親中誘導」も「事件」として捜査の対象になっていく可能性がある。
トランプ大統領は外遊から帰国した後、FBIがクシュナー氏を捜査対象としていることに関して早速「あれはフェイクニュースだ」とつぶやいているようだが、フリン氏がすでにロシア疑惑で辞職しており、フリン氏と行動を共にしていたクシュナー氏が疑惑から逃れることは難しいだろう。
掲載した写真は、ロシアゲート疑惑報道が出た後の、外遊先におけるクシュナー夫妻の一コマだ。いつもの爽やかな笑顔をふりまく二人とは表情が違う。クシュナー氏の顔は恐怖に満ち、いつもは颯爽としているイヴァンカさんのうつむいた顔は苦悩に満ちているように筆者には見える。何もなければ、このような変化は生まれないだろうし、中国大使館との接触の仕方から見ても、ロシアゲートに関するFBIの捜査発表は十分な裏付けがあってのことだろうと推測される。(筆者の追跡は中国との関係にターゲットを絞っている。)
今年はたしかに日中国交正常化45周年記念で来年は日中平和友好条約締結40周年となる節目の年ではある。
しかし一帯一路サミットフォーラムに日本が代表を送り込み、習近平国家主席にAIIBへの加盟を勧誘されて、「日中関係改善の兆し」などと喜んでいていいのだろうか?
なにも友好的であることをやめろとは言わないが、但し、そこに潜んでいる落とし穴があることに、日本は気が付いてほしいと望む。物事の本質を大局的に見極めた、毅然とした外交戦略を持てと言いたい。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。