トランプにブーイングした「白ジャケット」の女性たち
トランプが議会演説でオバマケア廃止に言及した際、ブーイングをした女性議員たち(2017年2月28日) CNN-YouTubeより
<トランプ大統領が議会で行った施政方針演説の際に目立った「白い服装で揃えた」女性議員の姿。彼女たちは何者で、何が目的だったのか>
ドナルド・トランプ米大統領が2月28日夜(日本時間3月1日午前)、初の施政方針演説に臨んだ。米議会上下両院本会議で、共和・民主両党の議員たちを前に、約1時間にわたり熱弁を振るった。
就任から約40日間、大統領令を乱発し、各国首脳と会談も重ねてきたトランプだが、これまでは具体的にどんな政策を打ち出し、何を優先課題として取り組むのか、はっきりしないところがあった。
この議会演説では、中間層向けの大幅減税や1兆ドル規模のインフラ投資、広範な移民制度改革などを約束。それでもまだ具体論に欠けるとの評も多いが、議場では共和党議員からの拍手喝采が続いた。
なかでも共和党議員団から大きな歓声が上がったのは、オバマケア(オバマ前政権による医療保険制度改革)の廃止に言及した時だ。「政府が承認した医療保険を国民全員に買わせるやり方は、アメリカにとって正しい解決策ではない」と述べ、スタンディングオベーションを受けた。
【参考記事】トランプ米大統領が議会演説、移民制度改革や減税表明
その時、議場の反対側では、ブーイングのジェスチャーをする女性たちがいた。全員が白い服装......よく見ると、他にも多数、白いジャケットの女性が。
彼女たちは何者で、なぜ服装を白で揃えているのだろうか?
民主党の女性議員たちだ。下院民主党女性作業部会のメンバーである66人の議員の多くが、20世紀初頭の婦人参政権運動への賛意を示し、純潔のシンボルである「白」のジャケットで揃えていたのである。
「前世紀に女性たちが成し遂げた素晴らしい進歩を後退させようとするトランプ政権に対抗するため、私たちは白い服を着て一致団結する」と、作業部会の長を務めるロイス・フランケル民主党下院議員は声明で述べていた。「すべての女性の進歩をこれからも支持し続ける」
Tonight, our Democratic #WomenWearWhite in support of women's rights -- in spite of a @POTUS who doesn't! pic.twitter.com/kKJpfV5iUE
— Nancy Pelosi (@NancyPelosi) 2017年2月28日
女性の権利を支持する人々にとって、女性蔑視発言を行ったトランプへの反発はいまも根強い。1月の就任式翌日には、全米の主要都市で女性を中心とした反トランプ・デモが行われ、首都ワシントンだけでも20万人以上が集まった。
CNNによれば、アメリカの歴史上、「白」は女性の政治参加を象徴する色であり続けてきた。昨年の大統領選でも、民主党のヒラリー・クリントンは大統領候補指名を受諾した際、白のパンツスーツ姿だったし、投票日当日には#WearWhiteToVote(白を着て投票へ行こう)というハッシュタグの運動が展開された。
今回の議会演説でも、白で揃えた数十人の女性議員の姿はかなり目立っており、視聴者に強い印象を残したかもしれない。