15日のオランダ下院選、トルコとの対立は極右政党に追い風か
3月13日、オランダ議会下院選挙がいよいよ15日に実施されるが、トルコとの対立が激化したことで、もともと最大の争点だった移民問題とナショナリズムがさらに注目を浴びている。写真は、極右政党、自由党のウィルダース党首。ロッテルダムで撮影(2017年 ロイター/Yves Herman)
オランダ議会下院選挙がいよいよ15日に実施される。前週末の出来事をきっかけにトルコとの対立が激化したことで、もともと最大の争点だった移民問題とナショナリズムがさらに注目を浴びている。
オランダ政府は、トルコの閣僚が改憲の是非を問う国民投票支持をオランダ在住トルコ人に呼びかけるために入国しようとしたのを拒否。これに抗議するため集まったトルコ人とオランダ警察が衝突し、トルコのエルドアン大統領はオランダ側を「ファシスト」とののしる事態になった。反イスラムを掲げる極右政党、自由党(PVV)のウィルダース党首は、こうした情勢が選挙で第一党に躍進する上で追い風に働くと期待している。
オランダでは小党が割拠し、どの政党もPVVとの連立を否定している状況を踏まえると、PVVが政権を樹立できる可能性は実質的にはゼロだ。それでもPVVが第一党になれば、欧州全土に衝撃が広がるだろう。
フランスでは来月、大統領選の第一回投票が行われ、極右の国民戦線を率いるマリーヌ・ルペン氏が13日の世論調査でリードしている。9月のドイツ総選挙では、やはり右派で欧州連合(EU)に懐疑的な「ドイツのための選択肢(AfD)」が初めて連邦議会に議席を得る公算が大きい。
より目先の問題は、トルコとオランダの対立が本当にウィルダース氏に有利に働くのか、それともルッテ首相の得点になるのかだ。
13日夜に発表された世論調査では、ルッテ氏の自由民主党(VVD)が獲得予想議席がこれまでより3議席、ウィルダース氏のPVVは2議席増える見通しになった。
オランダ紙トロウの政治論説委員、ハンス・ゴスリンク氏は「トルコとの対立といったような問題に国家が見舞われている際には、国民は政府を支持する傾向がある」と指摘した。
ルッテ氏のトルコに対する強硬姿勢は、主流政党が移民問題に適切に対応するとの姿勢を示し、ウィルダース氏に投票しないよう有権者にアピールしているとの受け止め方が多い。VVDと連立を組むキリスト教民主勢力(CDA)も12日、トルコからの移民に対して二重国籍の破棄とオランダへの同化を促した。