トランプ政権閣僚による欧州PR訪問、対米懸念払しょくできず
欧州議会外交委員長のエルマー・ブロク氏は「ペンス氏やマティス氏、ティラーソン国務長官がここへやって来て、NATOなどの重要性を論じるのは結構なことだ。しかし明日の朝(トランプ大統領が)ツイッターにどんな書き込みをするのか、分かったものではない」と冷ややかに話す。
フリン氏の辞任で外交政策に関してトランプ大統領が耳を貸すのは誰なのか、不透明感は一段と強まった。
ブリュッセルの外交政策アナリストは、元米国務長官のヘンリー・キッシンジャー氏が欧州と話がしたい時、誰に電話すればいいのかと問いかけて物議を醸したエピソードに触れ、「今は、米国と話がしたいときには誰に電話すればいいのかと欧州が問うている」と指摘した。
ペンス氏は、欧州で大きな支持を得ているイラン核合意に関し、イランがテロ資金を自由に入手できるようにしていると否定的な見方を示唆。ペンス氏の「イスラム過激派によるテロ」への繰り返しの言及は、トランプ政権が全イスラム教徒に疑いの目を向けていると感じている人を不愉快にさせている。
フランスのエロー外相は、ペンス氏が欧州連合(EU)に対する支持を表明しなかったことに不快感を表明。EUに対する支持表明は、ペンス氏が講演したミュンヘン安全保障会議のイッシンガー議長が事前に求めていたことだった。
トランプ氏は英国のEU離脱を賞賛した上で、他の加盟国による離脱が続くとの見方を示しており、米国が伝統的な欧州政策を放棄してEUの解体を積極的に促進するのではないかとの懸念がEU内では高まっている。
「ペンス氏がEUに全く言及しなかったことには衝撃を受けた」とエロー外相は話した。
(Noah Barkin記者)