ドイツ「庶民派」シュルツ氏、連邦議会選でメルケルに勝てるか
2005年11月にメルケル首相が就任して以来、ドイツは着実な成長を遂げ、失業率は過去最低の水準まで下がっている。だが、多くの人は低賃金に甘んじており、経済のグローバル化によって貧富の格差が拡大するなか、取り残されたと感じている。
「ハンブルクの小さなパン屋が税金を払っているのに、隣にできた米国のコーヒーショップチェーンが税金を払っていないとしたら、あるいは大企業が何年も利益を増やしているのに、国内の実質賃金が停滞ないし低下していたら、これは公正とは言えない」。シュルツ氏は2月初め、ハンブルクに近いアーレンズブルクで開催されたタウンミーティングで、このように語った。
<欧州議会時代の汚点>
保守派は、シュルツ氏の欧州議会での実績を批判する姿勢を明らかにしている。
欧州議会議長の座にあった2014年末、ユンケル欧州委員長が18年にわたって首相を務めていた当時のルクセンブルクにおける税優遇措置について、欧州議会がどこまで厳しく調査を行うべきかという論争が発生し、シュルツ氏もこれに巻き込まれた。問題の税優遇措置には、アマゾンとフィアットに有利な措置が含まれていた。
200人近い欧州議会議員がこの問題の調査のため調査委員会の設置を求めていたが、シュルツ氏は、より権限の小さい特別委員会で処理する方向に議会を導いた。
これに対し、ユンケル氏が苦境に陥らないようシュルツ氏が手助けしたと解釈する批判があった。欧州委員会は、ユンケル氏は欧州議会に協力的であり、何も隠していないと述べている。シュルツ氏の広報担当者は、彼は調査委員会を妨害しておらず、そのような権限もなかったはずだと述べた。
メルケル首相が率いる保守派は、シュルツ氏の欧州議会時代の記録を掘り起こす資料をまとめている。ロイターがこの資料を閲覧したところ、他にも類似した批判が見られた。
シュルツ氏が、政治的に中立であるべき欧州議会議長としての立場と、2014年の欧州議会選挙における社会民主党の主力候補としての立場を適切に分離していなかったという批判もある。シュルツ氏の広報担当者はこれに対し、欧州議会選挙における行為は「欧州議会により徹底的に検証されているが、何の異議も出なかった」と述べている。