「ロシアが禁止ミサイル配備」にも無抵抗、トランプ政権の体たらく
ドナルド・トランプ大統領が入国禁止令や安全保障担当補佐官フリンの辞任などでつまずく一方、フリンの悪名高い無秩序な管理スタイルのせいで政府高官は分断され、不満を抱いていると、政府関係者たちはFPに明かしている。軍高官のなかには、文民である政権幹部に公然と忠告するという異例の行動に出た者までいる。
「我が国の政府は、依然として信じがたいほどの混乱状態にある。政府には、すぐにこの状態を解消してほしい。これではまるで戦争状態だ」。特殊作戦軍司令官を務めるレイモンド・トーマス陸軍大将は、14日にそう語った。のちに発言の真意を問われたトーマスは、「司令官として、我が国の政府が極力安定した状態にあることが重要だと考えている」と説明した。
大統領選の勝利から100日近くが過ぎたにもかかわらず、トランプはいまだ、政権内の重要ポストの担当者を指名していない。本来なら、ロシアによる軍縮条約違反などの危機が起きた際に、真っ先に応答するはずの者たちだ。トランプ政権ではまだ、国務副長官と国防副長官をはじめ、国家安全保障会議の一部の上級職や、さまざまな安全保障関連組織の主要な中間管理職のポストが埋まっていない。
ロシア機が異常接近
「ロシアは(新政権を)あちこちつついてみるだろう」と語るのは、ワシントンのシンクタンク、大西洋協議会でNATOを専門とするジョージ・ベニテズだ。「ロシア政府は、(アメリカからの反撃を受けずに)どこまで押せるかを探っている」
最近、ロシアの軍隊に絡んだ事件がほかにも2件起きた。黒海では、通常任務中の米駆逐艦にロシア軍機が異常接近。米東海岸のデラウェア州沖では、ロシアの偵察艇が目撃された。そうした報告がされたのは2年ぶりのことだ。国防総省報道官のバレリー・ヘンダーソン中佐はFPに対し、米軍は「偵察艇の存在に気づいていた」と話し、米国の領海には侵入していなかったと説明した。
そうした事件は互いに、そしてもちろんフリンの辞任とも、関係している可能性がある、と専門家は指摘する。
偵察艇が「テスト飛行だった可能性は当然あるが、いずれにしても一夜にして起きることではない」とスミスは言う。