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タイタイ新国王が即位しても政情不安は解消されない
Chaiwat Subprasom-REUTERS
<国民の人気が高かったプミポン前国王の後継として、ワチラロンコン新国王が即位した。皇太子時代の評判はあまり良くない新国王だが、タイの政治対立を収めることはできるのか>(写真:昨年5月に王室行事に参列したワチラロンコン皇太子〔当時〕)
今月1日、タイで1946年以来70年ぶりの新国王が即位した。
ワチラロンコン皇太子(64歳)が正式に新国王となり、10月13日にプミポン前国王が死去して以来7週間に渡った空位期間は終了した。政治空白を懸念した多くの人々もこれで安心するだろう。政治が不安定なタイでは、伝統的に王室が大きな影響力を持っている。
新国王には、タイの厳格な不敬罪が適用されるため、批判を受けることはない。だからと言って、新国王がすぐに国民からの尊敬を得られるわけではない。ほとんどの国民は、前国王の時代しか知らない。そして現在のタイは、軍部を中心とする既得権益層と、タクシン元首相を支持するタクシン派との対立が続いている。
プミポン前国王の人気の高さを考えれば、ワチラロンコン新国王はまだまだ国民の信頼を勝ち得ていない。1970年に渡ってタイを統治したプミポンは、政治的安定の要とみなされ、度重なる軍事クーデターやクーデター未遂、新憲法への移行議論など様々な政治的混乱を乗り越えてきた。1992年には、軍事政権と民主化勢力が対立したクーデターで和平を呼び掛け、国民の人気を不動のものにした。
新国王には大変な努力が必要だ。王位継承者に指名されたのは1972年だが、その後も生活の大半をドイツで過ごし、国民は新国王についてほとんど何も知らない。王位継承について公に議論することが不敬罪で違法とされているせいもある。
眉をひそめる噂
そして国民が知る新国王に関するいくつかの情報は、眉をひそめるようなものだ。
「率直に言って、私の息子の皇太子は、ちょっと『ドン・ファン(プレイボーイの放蕩息子)』のようなところがある」――1982年の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューに対して、前国王妃シリキットはそう語っている。(王室の否定的な記載があるこのインタビューはタイ国内では掲載不可)
もちろんあの、「空軍大将フーフー」のエピソードも忘れることはできない。皇太子時代の3番目の妃スリラスミのペットの白いプードルは、タイ空軍の最高位の称号を与えられていた。昨年フーフーが死亡した際には、仏式にのっとり4日間の葬儀の後に火葬された。
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青年時代には軍隊での訓練も経験している新国王だが、軍政とは緊張関係にあると報じられている。タイ軍部は、政治家が意に添わない場合、クーデターを起こす傾向が強い。タイでは2005年のクーデター以降、政治的混乱が続いている。