投票日直前の「メール問題」で激変する、スイング・ステートの最終情勢
大統領選では(以前にも書いたが)、ニューハンプシャーは2000年大統領選の勝敗を決めた州として知られている。ジョージ・W・ブッシュが7000票という僅差でアル・ゴアを破ったが、「どちらが大統領になっても変化はない」と左寄りのリベラルに呼びかけた緑の党のラルフ・ネーダーが2万2000票も獲得した。ネーダーがゴアからこれだけ多くの票を奪わなければ、ゴアが大統領になっていたはずだった。
そしてニューハンプシャーは、東海岸北部では、共和党が最大の勢力を誇る州でもある。それだけにトランプ陣営も、相当なエネルギーを注いでいる。
トランプ陣営は、ラリーに参加した支持者に次のようなアルバイト募集のメールを送っている。「選挙運動の最後の努力として、我々ニューハンプシャーチームと一緒に仕事をする報酬付きのポジションがあります。今から11月8日まで、ニューハンプシャーでドアを叩く意志がある方を探しています」
ヒラリー陣営で地上戦をするのは、すべて無償のボランティアだ。このメールは、トランプの「地上戦」を担うボランティアが足りないことも示唆している。
しかし、それでもトランプ陣営は、ここで勝てると見込んでいる。選挙前夜の最も重要なラリーを、トランプがニューハンプシャーで開催することからも、それはわかる。
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いよいよ選挙まであと丸1日しかない日曜の夜、FBI長官が再び議会のリーダーに手紙で通知した。ウィーナーのメールをすべて調査した結果、訴追するような内容は何も見つからなかったという報告だった。
民主党員たちの反応は、安堵と怒りの混じったものだった。
選挙前に疑惑が晴れたのはうれしいが、ヒラリーはすでに深刻なダメージを受けている。州によってはすでに早期投票が進んでいる。直前のメール問題でヒラリーへの投票をやめた浮動票が何%かはあるはずだ。それはもう取り返すことはできない。そして、たった1日で「まったく根拠のない疑惑だった」というメッセージを有権者に浸透させるのは無理だ。
ニューハンプシャーの結果が大統領選の勝敗を左右するかどうかは別として、選挙のプロでもまったく結果が読めないスイング・ステートになってしまったことは確かだ。