最新記事

天皇

悠仁親王が日本最後の天皇? 急がれる皇位継承改革

2016年10月18日(火)10時23分

急速に高齢化が進み、2060年までに人口が約3割減ることが予想される国において、皇室の衰退はより大きな傾向の象徴でもある。日本の同族経営企業にとっても、後継者育成は深刻な問題となっている。

天皇陛下の生前退位などを検討する有識者会議の初会合が開かれるが、日本の国内メディアや専門家によると、皇太子に皇位を譲り生前退位を可能とする陛下一代限りの特別立法を検討する方向に政府は傾いているようだという。

皇室典範の専門家である慶應義塾大学法学部の笠原英彦教授は、有識者会議では、男系男子に限られている継承についての問題は議論されないとみている。保守派は、2600年に及ぶ天皇制の伝統において、男系男子による継承は要だと考えている。政府のスタンスは、世論を二分する女性、女系による皇位継承のような問題に取り組むのを避けることだと、同教授は指摘する。

各世論調査では、大半の日本人が女性天皇あるいは女系天皇を支持しているものの、保守層は安倍首相の政治的支持基盤の中核である。

日本の皇位継承は歴史的に、側室と宮家によって保たれてきた。

ごくまれに男性の継承者が見つかるまで女性皇族が天皇の座に就くことは過去にあったが、そうした場合は未亡人か未婚者で、子どもに皇位が受け継がれることはなかった。

しかし時代は変化し、1912年に崩御された明治天皇が側室をもった最後の天皇となり、また、日本の第2次世界大戦敗戦後に連合軍によって宮家も皇籍を剥奪された。

1947年に制定された現在の皇室典範は、皇位継承を皇統に属する男系男子に限っている。

<大手術>

皇太子夫妻と秋篠宮夫妻に男子誕生の望みがなくなりつつあった2005年、当時の小泉純一郎首相は男子継承の伝統に挑む準備を始めた。

有識者会議は、天皇および女性天皇の第一子は性別にかかわらず、皇位を継承すべきとし、小泉首相は皇室典範の改正案を提出すると約束した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米プリンストン大への政府助成金停止、反ユダヤ主義調

ワールド

イスラエルがガザ軍事作戦を大幅に拡大、広範囲制圧へ

ワールド

中国軍、東シナ海で実弾射撃訓練 台湾周辺の演習エス

ワールド

今年のドイツ成長率予想0.2%に下方修正、回復は緩
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中