最新記事

サイバーテロ

イギリスの銀行、ハッキングの全容報告しないケースも 処分や悪評恐れ

2016年10月15日(土)14時09分

10月14日、英国の銀行を狙ったサイバー攻撃が増える一方で、当局による処分や悪評が立つことを恐れて全容が報告されないケースもあることが分かった。写真はイメージ(2016年 ロイター/KACPER PEMPEL)

英国の銀行を狙ったサイバー攻撃が増える一方で、当局による処分や悪評が立つことを恐れて全容が報告されないケースもあることが、セキュリティー会社などの話で分かった。

英金融行動監視機構(FCA)によると、同国で今年報告された金融機関へのサイバー攻撃件数は現時点で75件と、2014年の5件から急増した。ただ、銀行関係者やサイバーセキュリティーの専門家によると、実際の件数はこれを大幅に上回っているという。

イスラエルのサイバーセキュリティー会社、イルーシブ・ネットワークスのShlomo Touboul最高経営責任者(CEO)は、英銀はほぼ絶え間なくサイバー攻撃を受けていると指摘。ある世界的な金融機関では1カ月に20億回以上もの攻撃があったと明かした。その内容は、社員宛てのウイルスメールからシステムへの攻撃まで多岐にわたるという。このうち、ソフトによる機械的な防御などを通過した実際の脅威は200件程度とされる。

より一貫した報告が義務化されている米国とは異なり、FCAの規定では、英銀にはすべての攻撃を報告する義務はない。英セキュリティー会社プロティビティの英国マネジングディレクター、ライアン・ルビン氏は「グレーゾーンは存在する。銀行は概して法的義務を果たしているが、損失が発生する可能性について顧客に警告し、業界全体で情報を共有することが、モラルの面から求められる」と述べた。



[ロンドン 14日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

鉱物協定巡る米の要求に変化、判断は時期尚早=ゼレン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中