「トランプ劣勢」が裏目? クリントンに新たなリスクの懸念
ロイター/イプソスの最新世論調査では、クリントン氏支持者の約半数がトランプ氏を大統領にさせないためだと答えた。クリントン氏の政策が良いからとしたのは36.5%、人柄を理由に挙げたのは12.6%しかいない。
民主党支持層の大半を占める若者やアフリカ系、中南米系、低所得層といった有権者を投票所に赴かせるには、候補者や争点の面でそれなりの動機づけが必要になる。典型的なのはオバマ大統領が初当選した2008年のケースだ。
当然ながらクリントン陣営も、有権者がもうトランプ氏が勝つことはないだろうと思い込む展開をずっと懸念し、ことあるごとに選挙戦は厳しく、トランプ氏は大統領にふさわしくないとの考えを前面に打ち出してきた。ただ、支持率の面でクリントン氏の優位が広がるとともに、こうした戦術は行使が難しくなる。
トランプ氏が女性を蔑視したとされる発言の映像が公表された7日より前に実施したロイター/イプソスの50州調査によると、クリントン氏の当選確率は95%に達した。NBC/ウォールストリート・ジャーナル紙が10日発表した世論調査では、クリントン氏の支持率がトランプ氏を11%ポイント上回った。
<左派勢力の懸念>
クリントン氏は、ウォール街で多額の報酬を受け取って行った講演の抜粋が「ウィキリークス」に暴露され、その内容が民主党左派の怒りを買っている問題にも対処を迫られている。講演での発言は、クリントン氏が国際貿易を支持し、金融業界と癒着傾向にあるのではないかという左派側の懸念を裏付ける格好となった。